更新日: 2024.05.18 14:46
佐藤万璃音 2024年ELMS第2戦ポール・リカール レースレポート
ELMS第2戦、ラスト3周でタイヤ剥離。2位を目前に、5位へと悪夢のドロップ
昨シーズンよりヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)に挑戦を開始した佐藤万璃音(ユナイテッド・オートスポーツ所属・24歳)が、5月3〜5日にフランス、ポール・リカール・サーキットで開催された2024年ELMS第2戦『4 HOURS OF LE CASTLLET』に参戦。予選5番手からスタートし、4時間レースのラスト3周まで2位を快走しておりましたが、残り6分を切ったところでタイヤの剥離に見舞われてしまい、無念の5位チェッカーに終わりました。
今回のレースは佐藤万璃音にとって、何故か歯車の嚙み合わないレースとなってしまったようです。ユナイテッド・オートスポーツ22号車は、フリー走行前日に実施された雨中のテストデーで、後続車に突っ込まれてしまうアクシデントに見舞われてしまいました。
幸いダメージはそれほど大きなものではなく、フリー走行までには修復も終わり、1時間30分で行われたフリー走行1回目では主にベン・ヘンリー選手がステアリングを握り、どのチームよりも多い41周をこなし、1分42秒090、8番手タイムをマークしました。
フリー走行2回目は佐藤万璃音がタイヤのデグラデーションをチェックしつつ1分42秒841で15番手タイムをマーク。昨年、チームにとって最も苦手なサーキットであったポールリカールでしたが、去年に比べても大幅な改善が見られたことを確認し、予選に臨むこととなりました。
予選ではベン・ヘンリー選手がタイムアタックを担当しましたが、燃料搭載量とアタックのタイミングが悪く1分40秒559で5番手に終わりました。本来であれば十分フロントロウを獲得する速さがあっただけに、チームにとっては悔しい予選となりました。
決勝レースを前に、チームはグッドイヤーのタイヤエンジニアを交え、デグラデーションの大きさに対する不安を口にしていました。マシンのセットアップの問題もあるにせよ、この週末、特に左フロントタイヤに大きな負荷がかかった状態になり、耐久性への不安が戦略に大きく影響するのは確かです。
決勝レースはフィリップ・ウグラン選手がスタートを担当し、本来であればタイヤ交換せずに2スティントを走りたかったのですが、安全性のため7秒近くのロスタイムを覚悟してタイヤ交換をし、再スタート。しかしペースがいまひとつで、佐藤万璃音にドライバー交代、4輪ともフレッシュタイヤに交換した佐藤万璃音はタイヤマネージメントを意識しながらフルプッシュ。
2スティントを無交換で走り切る戦略も考えたのですが、やはりタイヤの劣化が激しく左フロントタイヤのみ交換し、給油を終えて再びコースイン。周回遅れのLMGT3マシンを交わしながらもハイペースで追い上げ、元F1ドライバーのロベルト・クビサ選手との間隔をかなり詰めてベン・ヘンリー選手に交代。佐藤万璃音の頑張りもあって、チームは次第にポジションを上げ、レース終盤には2番手まで浮上していました。
しかし無常にもチェッカーまで残り6分、ラスト3周の段階で左リヤタイヤが限界に達し、トレッドが剥離。しかしベン・ヘンリー選手は諦めることなく1周5秒もペースを落として走り続け、最後は5位入賞のチェッカーを受け、シリーズポイントではランキング3位から2位へと浮上しました。
佐藤万璃音のコメント
「今回のレースは、速さに見合うだけの結果ではなかったです。悔しさが残るレースでした。もともと自分たちのクルマは、このサーキットとの相性が悪く、去年も苦戦したのですが、昨年に比べればチームがデータ解析をもとにセットアップを進めてくれたおかげもあって、フリー走行から悪くない手応えはありました」
「しかし、決勝に向けて特に左フロントタイヤのデグラデーションが大きく、厳しいレースになるだろうなという予感はありました。結果はその不安が的中し、最後のベン選手のスティントで左リヤタイヤが剥離してしまうという最悪の事態が起こってしまいました」
「それでもベン選手も本当に頑張ったと思いますし、チームもやれるだけのことはやったので、むしろリタイヤすることなく、5位でチェッカーを受けられて良かったと思うことにしました。シリーズチャンピオン獲得のためには気持ちを切り替え、残り4戦をミスすることなく前へ進みたいと思います」