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投稿日: 2024.03.08 13:10
更新日: 2024.03.08 18:45

日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想。テストでのトップから4秒落ちをどう読むか

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スーパーフォーミュラ | 日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想。テストでのトップから4秒落ちをどう読むか

 いよいよ今週末3月9~10日に開幕戦を迎える今季2024年のスーパーフォーミュラ。そのなかで大きな注目を集めているのは、やはりJuju(野田樹潤)だ。

 50年以上の歴史を持つ国内トップフォーミュラで初の日本人女性ドライバーとしての参戦。これだけでも注目を集めるが、それに加えて彼女は今年の3月末までまだ高校生(4月より日本大学スポーツ科学部に進学)。話題性は抜群で、地上波をはじめとするテレビや新聞などさまざまなメディアで取り上げられている。

 それら一般メディアの報道の中には「“天才・女子高生レーサー Juju”なら、いますぐにでもスーパーフォーミュラで勝てる」といったようなニュアンスの内容まで見受けられる。

 これに対して、当の本人は至って冷静で「最初から『勝ちます!』とは簡単には言えない世界」「チームのみなさんのサポートのおかげで一歩一歩成長することはできると思うので、そこでしっかりと学んで、みなさまに成長を見せたい」と地に足をつけている。

“一般メディアの扱い方”と“彼女自身の思い”が乖離している点が気がかりではある。

 では、実際のところ、今季のJujuはスーパーフォーミュラにおいて、どのような走りを見せてくれるのだろうか。

 そもそも昨年12月に鈴鹿で行なわれたルーキーテストで、彼女は初乗りにもかかわらずトップから約2秒落ちのラップタイムを記録した。たしかに、このカテゴリーで2秒差は大きいが、それでも「いきなりのSF、鈴鹿で、こんなに走れるの?」とチームインパルの星野一樹監督も目を丸くするほどの衝撃だった。

 ところが、2月に行なわれた開幕前の公式テストでは、トップから約4秒落ちにとどまった。

 ウエットからドライまでコンディション変化が大きかったとはいえ、昨年のテスト時よりも、トップからのタイム差が広がってしまっていることは、見逃してはならない事実だろう。このタイム差をどう読む解くべきか。

 技術的な話になるが、今年のスーパーフォーミュラは“ダンパーの共通化”がトピックだ。昨年までは各チームがさまざまなメーカー、場合によっては自社製のダンパーを使用していたが、今年はこれがオーリンズ製のワンメイクとなる。

日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想。テストではトップから4秒落ち
SF23のリヤセクションを構成する各パーツを着色して紹介
日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想。テストではトップから4秒落ち
スーパーフォーミュラのワンメイクマシン『ダラーラSF23』のリヤセクション

 ただ、それ以上に影響力が大きく、チームを悩ませているのが“サードエレメントの変更/共通化”である。その機能・役割の詳細はオートスポーツ本誌(No.1594 2月29日発売号)に詳しいが、フォーミュラカーの車高や姿勢の制御を担い、結果、ダウンフォース(=ラップタイム)に大きく影響をおよぼすサードエレメントの変更/共通化こそが、今季最大のトピックである。

 今年2月の公式テストでは約2週間後に控えた開幕戦に向けて、全チームが共通ダンパー/サードエレメントを使用していた一方、昨年12月のテストでは、チームごとにメニューが異なり、搭載していたダンパーやサードエレメントもまちまちだったという情報がある。

 今季に向けて体制が決まり、「いち早くデータを収集したい」と考える上位チームほど昨年12月のテストから共通ダンパー/サードエレメントで走行を重ねる傾向にあったのに対し、「23シーズンを通して、自分たちがやってきたことを確認する目的で、共通ダンパーと共通サードエレメントの使用は最小限にとどめた」というチームもあった。

 つまり、タイムが伸び悩んだ上位勢に対して、中団以下のチームのタイムが(相対的に)上がる状況であったわけだ。

 Jujuが所属するTGMグランプリが、昨年12月と今年2月のテストでどのようなメニューをこなしていたか詳細までは分からない。ただ、チームとドライバーが共通ダンパー/サードエレメントをどれだけ手の内に収めているかを知るためには、今年2月のテストのほうが参考になることは間違いない。

日本人女性初参戦で注目集めるJujuのスーパーフォーミュラ開幕戦予想。テストではトップから4秒落ち
SF23で学ぶ「フォーミュラカー解体新書」 auto sport 2024年4月号 (No.1594)

 つまり、開幕戦・鈴鹿ではトップとJujuのタイム差が、公式テスト時と同様に3~4秒程度となる可能性もあるだろう。さらに、その後は第2戦オートポリス、第3戦SUGOと序盤3戦にドライバーの技術と度胸が試されるコースが続くことも加味しておくべきかもしれない。

 いずれにせよ、一般メディアが報じるように「“天才・女子高生レーサー Juju”なら、いますぐにでもスーパーフォーミュラで勝てる」というのは、いくらなんでも楽観的すぎるように思える。

 Juju陣営の立場に立てば、開幕当初は「トップとのタイム差が4秒落ちから始まってもいい」くらいの心構えが必要になる。週末を通して、あるいはシーズンを通して、Jujuがどれだけ、その差を縮めていくかに注目すべきだろう。

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