更新日: 2023.10.20 14:48
apr LC500h GT 2023スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート
2023 AUTOBACS SUPER GT Round7
AUTOPOLIS GT 450km RACE
Round 7 オートポリス
apr LC500h GT
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月14日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:6500人
10月15日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:13500人
オートポリス初の450kmレースで、apr LC500hが初の表彰台を獲得!
2023シーズン、aprは全8戦で競われるスーパーGTにニューマシン、レクサスLC500hを投じてGT300クラスを戦う。
31号車『apr LC500h GT』をドライブするのは 嵯峨宏紀選手と小高一斗選手。また、8戦中5戦で開催予定の450kmレースでは、第3ドライバーとして根本悠生選手が起用される。タイヤはブリヂストンを使用する。
シリーズ第7戦の舞台は、九州のオートポリス。『apr LC500h GT』のロングホイールベース、前後の重量バランスの良さが、タイヤに厳しいサーキットでこそ活かされるはずだ。
スポーツランドSUGOで行われた第6戦では、公式練習で嵯峨選手がクラッシュを喫し、負ったダメージは予選を走れなかったほど。それでもメカニックによる夜を徹しての修復作業によって、決勝レースには間に合い、最後尾からのスタートで11位という結果を得ることとなった。
第7戦は、サクセスウエイトが半減されるため、21kg積んで臨む。また、本来はヨーロッパのレースに出場するはずだった根本選手ながら、予定を改めてスーパーGTの出場が可能に。450kmレースということもあり、3人体制で挑むこととなった。
公式練習
10月14日(土)9:25~11:00
つい先日まで暑い、暑いと言っていたものだが、10月に入って以来というもの、すっかり秋めいた気候となり、レースウィークのオートポリスはむしろ肌寒いぐらい。
金曜日の未明に降った雨で、公式練習の序盤は路面の一部に水が残したが、しばらくすると完全に乾き、以降は雨や霧の心配をせずに済んだのは何よりだった。
最初に『apr LC500h GT』に乗り込んだのは小高選手。計測開始と同時にコースインするも、すぐにピットに戻ってくる。そればかりか、もう1周走っただけでピットガレージに収められてしまう。
原因は、SUGO戦クラッシュ後、決勝用に載せ替えた2機目のエンジンもレース序盤にオイルパンをヒットさせ使用不可能となっていた。オートポリスに向けてチームは3機目のエンジンを投入し、その搭載時の不具合があったためで、再度メンテナンスを施さねばならず再び走り出せたのは、計測開始からほぼ50分経過したタイミング。
しかし、そこからは順調に周回を重ねられ、まずは小高選手によるアタックシミュレーションが行われて1分45秒145で、その時点の12番手につける。
GT300クラスの専有走行が始まる直前に根本選手に交代し、やはり予選シミュレーションを行うと1分45秒016をマークして、最終的に8番手で公式練習を終えることとなった。
続いて行われたFCY(フルコースイエロー)テストでは小高選手が、そしてサーキットサファリでは根本選手が乗り込み、それぞれ短い時間ではあったが、決勝セットを詰めていた。
公式予選Q1
10月14日(土)15:18~15:28
今回、『apr LC500h GT』はB組で予選Q1に臨み、アタックを担当したのは根本選手。
オートポリスでは2020年のスーパー耐久以来の走行で、しかも公式練習で十分な走り込みができていなかったため、不安材料も若干残したものの、期待を遥かに超える走りを見せてくれた。
計測3周目からのアタックで1分43秒192をマーク、続けてもう1周のアタックこそ1分43秒507と、タイムを落としはしたが、2番手で問題なくQ1を突破した。
公式予選Q2
10月14日(土)15:53~16:03
続くQ2に挑んだのは小高選手。ポールポジションを狙いに気合を込めるが、そこは公式練習での走り込み不足が影響してしまった。
それでも入念にウォームアップを行い、根本選手同様、計測3周目にアタックを開始。1発を完璧に決め、小高選手は1分42秒342をマークするも、トップにはコンマ3秒及ばず。
それでも3番手につけ、『apr LC500h GT』は2列目イン側の好位置から決勝をスタートすることとなった。
小高一斗選手
「久々にQ2を走りましたが、前戦クラッシュの影響がまだ残っていて公式練習チェックが長くなってしまって、半分ぐらいしか走れなかったのが悔やまれますね」
「自分としてはポール獲りたかったから、アタックしてみて『ここは、ああしておけば良かったかな』と、後からわかる事がたくさんありました」
「それでも3番手からスタートできるので、車のポテンシャルは高いですし、今までも予選より決勝で順位を上げてきたので、チームみんなで、ミスなくできれば結果は着いてくると思うので、頑張ります」
根本悠生選手
「オートポリスではS耐で2020年に走って以来、3年ぶりですし、GTではもちろん初めてなので、超特急でドライビング合わせて、車に慣れて、コースに慣れてというなかで、セットも煮詰めていったので、我ながら『けっこう忙しくやってるな』って感じでしたが、小高選手とチームがしっかり話し合ってセットアップの方向性を出してくれて、僕もしっかりコメントしつつ、ここまでやって来ることができました」
「何もなければブリヂストンタイヤなので表彰台に行けるポテンシャルはあると思うので、安心して笑顔で帰れるように。みんなで力を合わせたいと思います。
金曽裕人監督
「やっといい流れを取り戻しました。公式練習でトラブルが出てしまい、それは前のSUGOの居残ったところがまだ完全に修復できていないところがあって、それを直していて走行時間が減ってしまいドライバーには申し訳なかったです」
「セットアップは時間のないなかで、バックデータからやったセットで、本当はもっと車を詰められたとは思いますが、今日はブリヂストンタイヤとドライバーふたりのパフォーマンスに助けられました」
「そもそもオートポリスは、ホイールベースの長い『LC』で、こんなポジションを獲れるとは思っていなかったので、本当にタイヤとドライバーに感謝というのが、今日の素直なところで、明日は最低でも同じポジションでチェッカーを受けたいですね」
決勝レース(97周)
10月15日(日)13:30~
今回、決勝のスタートを担当するのは小高選手。
直前のウォームアップも小高選手が走行し、決勝セットの最終チェックを行うと、1分46秒427を筆頭として好タイムを連発。6番手につけて、上々の手応えを得られるまでとなっていた。
今回も給油を伴うピットストップの義務づけは2回。それも5周目以降からと定められていた。これに『apr LC500h GT』はぴたりと合わせてきた。
ポジションキープからのレース開始となった小高選手は、5周目にピットに入り、もちろんコクピットに収まったまま。メカニックは給油だけを行い、タイヤは無交換で小高選手をコースに送り戻す。
GT300クラスの後方集団の前に出られなかったという不運はあったものの、もともとのポテンシャルに違いがあるだけに、周回を重ねるごと順位は上がっていき、もちろんコース上でのオーバーテイクも。
そして、32周目には小高選手は3番手に返り咲く。
ほぼレース折り返しの45周目、ここからゴールまでは根本選手の担当。やがて順位を4番手とするも、その時点でトップは最後のピットを終えていない。61周目には3番手に返り咲く。
しかし、根本選手はタイヤのピックアップに苦しんでいて、思うようにペースを上げられずにいた。そんななか、68周目には4番手の車両が1秒を切るまでに迫り、もはやこれまでか……と思われた。
しかし、根本選手は耐えに耐え続けた。90周目にチェッカーが振られるまで、そんな厳しき状況を、ストレートスピードに勝ることで堪え続けてポジションを死守。
その結果、3位でフィニッシュし、『apr LC500h GT』にとって初めての表彰台を得ることとなった。
残す戦いは最終戦のみ!11月4~5日にモビリティリゾートもてぎを舞台とする戦いは、ノーウエイトで臨む1戦でもある。ランキングでも11位に浮上しただけに、有終の美を飾って欲しいものだ。
嵯峨宏紀選手
「5周目に入ったのは、結果的に集団に引っかかってしまって、運がなかったように思いますね。根本選手がピックアップに苦しんでいたようですが、それに関してはGT500のドライバーですら全員苦労していて、ある程度経験がないと苦しいだろうなと」
「僕自身、苦労した時期もあるし、ある程度慣れてくるとピックアップなりの走りもできますが、長いことやっていないと難しいところはあるので、しょうがないと思います。そういう意味でも展開には恵まれて、表彰台に上がれて良かったです」
小高一斗選手
「早めのピットストップは、失敗ですね(笑)。他のコースでしたら、うまくいったのかもしれませんが、タイヤに厳しいオートポリスで、しかもピット入ってすぐ300の後方に引っかかってしまったので、10秒ぐらいはロスしているので、それがトップとの差になったと思います」
「結果的にそのまま根本選手に渡せて、後ろから来た車にもしっかり耐え続けてくれて3位獲得できましたが、もっといいレースができたと思うので、次に向けて全体のレベルを上げるというか。上げないと、今のGT300では勝てないと思うので、そこをしっかりと目標に、みんなでもっといい成績を出したいと思っています。表彰台の全ての車両はブリヂストンタイヤだし、aprが作った車だし、ポテンシャルが高いのは、もう証明されていますから」
根本悠生選手
「いや~、過酷でした。まだまだピックアップ、本当に反省会ですよ。ピック アップと本当はマネージしながら走らなくてはいけないのに、取り方だったり、ピックアップのある状態でどうやって戻していくかだったり、そういったところの経験が全然足りませんでした」
「自分なりに戦ったつもりでしたが、突破口は見出せなかったので、そこはaprのファクトリーに戻ってからデータと映像、しっかり見直します。もてぎは走るか、まだ分からないですけど、もし走れるとしたら、そこはしっかりとクリアできるよう、頑張ります」
金曽裕人監督
「関係者の皆様、ファンの皆様、ありがとうございます、きれいな流れで、やっと表彰台です。優勝したかったですが、同じブリヂストン勢で、同じような車であると、やっぱり彼らの方がチーム力もセットも上でした」
「まずはブリヂストンタイヤが表彰台独占というのは、 すごく素晴らしいことですし、驚異的なパフォーマンスのタイヤを用意してくれたブリヂストンさんに感謝!でも、今度は僕らが1番になりたいので、そのために邁進します」
「作戦的には課題は残りますが、早いピットストップ作戦をしたのは、ブリヂストンタイヤに対する絶対の信頼を持っていたからこそ。なににしろ、今回はタイヤとドライバーに尽きます」
「あと、ここはどうしても(タイヤの)マーブルがコース上に出るので、根本選手が追い回されてしまったのは、ピックアップに対する処理ができなくて、悪戦苦闘していたからです」
「それをドライバーとして、もうひとつ上のレンジに来てくれれば、1位、2位は見えるなと感じました。上位2台との違いは、ピックアップの処理が明と暗の部分でした。最終戦は、この調子で連続表彰台を目指し、終わり良ければすべて良しにしたいです」