LMcorsa 2023スーパーGT第8戦もてぎ 決勝レポート
2023スーパーGT Rd8 Motegi Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
最終戦で有終の美を飾るべく、チーム一丸となりポイント圏内を目指したものの2スティントともに想定したペースで走れず15位でフィニッシュする
気象データ
気温:23度、路面温度:26度(決勝レーススタート時)
年間8戦のシリーズで競ってきたAUTOBACS SUPER GT 2023 SERIESは、11月4(土)〜5日(日)にモビリティリゾートもてぎで開催された『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』で幕を閉じることとなった。
2023年は30度を超える真夏日が過去最高を数え、平均気温も統計開始から最高を記録するなど酷暑となった。スーパーGTの最終戦はコロナ禍を除いて11月の上旬に行われてきて、通常ならば明け方は10度以下に冷え込むことが多かった。だが、レースウイークは天候に恵まれ気温は昼間だと20度を超え、上着を着込むと汗ばむことがあるほどの陽気となる。
そんなレース観戦日よりとなった最終戦は、熾烈なチャンピオン争いを目の前で観戦しようと多くのスーパーGTファンが集まり、予選日は1万5600人、決勝レース日は3万人の観客がモビリティリゾートもてぎを訪れた。5日(日)の決勝レース日は8時から併催カテゴリーの決勝レースが実施され、その後はピットウィークやドライバーアピアランス、航空自衛隊のウェルカムフライトなどを経て、11時30分にウォームアップ走行がスタート。
前日の予選で12番手を獲得したLMcorsaは、まず吉本大樹選手がSyntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込み状況をチェック。5周を走行すると河野駿佑選手に乗り替え、さらに6周を周回して300kmの決勝レースに備えた。
ウォームアップ走行の後には決勝レースのスタート進行が始まり、GT500クラスの15台とGT300クラスの25台がグリッドに並んだ。40台のマシンは予定どおりの13時にフォーメーションラップによって始動する。
スタートドライバーは吉本選手が担当し、12番手から上位を目指す。モビリティリゾートもてぎは低速コーナーと直線を繋ぐコースレイアウトで、加速力に勝るGT3が有利とされている。そのためスタート直後はGT3勢をいかに押さえ、食らいつけるかがポイントとなった。
吉本選手はオープニングラップで4号車のAMGをパスしたが、6号車のAudi R8 LMSに抜かれたためポジションは変わらない。3周目にはポジション争いが落ち着くが、コースの西側が雨雲で覆われ、小雨が降り始める。ウエットコンディションへと変わっていくか心配されたが、路面を濡らした程度で雨は止んだ。序盤は12番手をキープしつつ、7号車のBMW M4をテールトゥノーズで追う状況となる。
GR Supra GTはコーナーリングスピードの高さが武器で、単独走行では速いラップタイムを刻める。しかし、特性の異なるGT3の後方だと長所が消されてしまい想定したラップタイムで走ることができない。もどかしい状況は10周を超えても続いた。7号車を1秒以内で追うが抜くことはできず、15周目にはオープニングラップでパスした4号車が迫ってきて抜かれてしまう。さらに17周目には56号車のGT-Rにパスされて14番手に後退すると、チームは19周目にピットインの指示を出した。
Syntium LMcorsa GR Supra GTはピットに戻ると4本のタイヤ交換と給油を行う。ピットワークはLMcorsaの長所でミスなく河野選手をコースへ送り出すと、抜きあぐねていた7号車の前方に出ていた。23番手から追い上げを図った河野選手は、ライバル勢のピットインのタイミングもあり、25周目に17番手、30周目には15番手、全車が義務付けられたピットインを終了した36周目には14番手に浮上する。ただ、周回を重ねていくとリアタイヤのグリップが唐突に落ちる症状が発生し、安定したラップタイムを刻めない。
レースは40周を超えて終盤に入ると、コースオフした車両を回収するために初めてFCY(フルコースイエロー)が提示される。車両の撤去はすぐに終わり42周目にリスタートするが、河野選手のラップタイムが再び落ち込んでしまう。46周目には押さえこんでいた11号車のGT-Rに抜かれると、このタイミングでまた小雨が降りはじめ、今度はコース全体を濡らしていく。残り10周程度なので、ほとんどのマシンがスリックタイヤのままコースに留まる。河野選手はペースが落ちるものの最後まで周回を重ね、58周目に15位でチェッカーを受けた。
最終戦はポイント圏内が望める12番手からのスタートだったが、ポジションを上げることができず失意のレースとなってしまった。今季は昨シーズンの雪辱を果たすことが目標となっていたが、展開に恵まれないこともあり残念ながら8戦中3回のポイント獲得に終わった。
飯田章監督
「昨日の予選やウォームアップの様子などを見ていると決勝レースではジャンプアップできそう、と思っていましたが願いは叶いませんでした。決勝レースでの降雨や、コンディション変化が見方にならなかったのだと思います。そのために吉本選手、河野選手のスティントともにパフォーマンスが足りず少しずつ引き離されてしまいました。ミスなくベストを尽くしたつもりですが、この結果が現状だと考えるともっと頑張らないといけません。シーズン通してもどかしい結果となってしまったので、来季に向けて仕切り直していきます」
吉本大樹選手
「決勝レースはスタートを担当し序盤はポジションをキープしましたが、先行する7号車のBMW M4に引っかかってしまい思うようなラップタイムで走れませんでした。そのため早めにピット作業を行い、後半のスティントを長くする戦略を採りました。河野選手のスティントでは雨が降るタイミングもありポジションを上がれるかと思いましたが、想定したほどの速さがありませんでした。今季は取りこぼしもありましたが、実力的にも苦しいシーズンでした。どうやれば上位争いができるのか考え直して来季に繋げたいです」
河野駿佑選手
「決勝レースは後半のパートを担当し、ピットアウトしたときには吉本選手が引っかかっていた7号車の前に出られました。タイヤは吉本選手が履いたタイプと異なり、40周くらいのロングスティントにも対応できるとの想定でした。序盤は加速に勝るGT3勢を押さえられたのですが、トップ10内のマシンに対してペースは劣っていてポイント圏内は狙えませんでした。今シーズンは開幕戦でポイントが獲れ、昨年より良い状況だと感じましたが、シーズンが進むにつれて苦戦してしまいます。自分なりに反省点もありますし、現状のパッケージで上位争いするには足りないところがあるので、探さないといけないです」