更新日: 2024.03.18 20:17
LMcorsa 2024スーパーGT岡山公式テストレポート
スーパーGT 2024 OFFICIAL TEST1 Okayama
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
2024年シーズンの幕開けとなるスーパーGT公式テストが岡山国際サーキットで実施され、再起を誓うLMcorsaはノートラブルで走り切り、ドライとウエットともに上位のタイムを記録した。
2014年から国内最高峰のカテゴリーとなるスーパーGTに参戦してきたLMcorsa。2015年からはレクサスRC F GT3の車両開発も担い、2020年シーズンまで同マシンで継続参戦してきた。2021年からはスーパーGTを主催するGTAが定めたGT300の車両規定に沿って製作したGR Supra GTに移行し、昨年まで3シーズンを戦ってきた。
GR Supra GTを導入した初年度には、年間2勝を挙げてシリーズランキング3位を獲得するなどマシンのポテンシャルを発揮したが、翌年以降はレギュレーションの変化もあり苦戦をしいられることが多くなってしまう。
昨シーズンは8戦中5回の予選でトップ16となる予選Q2に進出したが、決勝レースでは10位以内に付与されるポイント圏内に入ることが難しく、シリーズランキングは22位。スーパーGTに参戦して以来、厳しいシーズンのひとつとなってしまった。
オフシーズンになるとチームはGR Supra GTのリフレッシュにはげむことになる。まずはエンジンやトランスミッションなどを降ろし、足まわりなども外してシャシーとボディだけの状態にして各部のチェックを行い、今季に向けたアップデートを施していった。
今季の仕様だが、外装パーツなどに手は加えず、重量バランスやジオメトリーの改善がメインとなった。昨シーズンはタイヤのグリップ不足や摩耗によって決勝レースが苦しかったが、車両側でタイヤの特性を引き出すことに挑戦し、車両のアップデートを実施してきた。
さて2024年のチーム体制は、第1ドライバーが吉本大樹選手、第2ドライバーが河野駿佑選手、監督に飯田章氏という布陣で5年目のシーズンを迎える。リフレッシュされたGR Supra GTのシェイクダウンは、3月13日に岡山国際サーキットで実施。
走行したのはGT3車両をメインとしたスポーツ走行枠で、翌日と合わせて2日間で計8時間のテストとなった。装着しているダンロップの今季用のタイヤも用意され、想定したテストメニューを消化し8時間をノートラブルで走り切った。
そして、3月16日(土)、17日(日)にはスーパーGT 2024年シリーズの幕開けとなる公式テストが実施され、GT500クラスの15台とGT300クラスの25台の計40台がエントリー。今季から予選フォーマットが大幅に変わることとなり、16日の午後には新たな予選方式での模擬予選がスケジュールに盛り込まれていた。
公式テスト初日となった16日(土)は早朝から晴れ渡り、春本番のような陽気となる。走り出しとなるセッション1は、9時から12時までの3時間にわたって行われた。まずは吉本選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込んで走行を重ねる。
シーズン開幕前の公式テストは、例年この岡山国際サーキットと富士スピードウェイの2回が開催され、シーズンオフの期間に開発されてきたタイヤを確認するタイミングとしても重要。吉本選手は数パターンのタイヤを確認しながら走行を続けた。
セッション1の開始から1時間20分が経過したところで、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTには河野選手が乗り込む。吉本選手とは異なったメニューでロングランなどを行ない、3時間のセッションで2人のドライバーが85周を走り込んだ。結果は吉本選手がマークした1分26秒263がベストタイムで、GT300クラスの25台中8番手となった。
2時間のインターバルを経て行われたセッション2は、前述のように今季の予選フォーマットに沿った練習走行だった。昨年までのGT300クラスの予選は、エントリーしたマシンが2組にわけられ予選Q1を競い、それぞれの上位8台が予選Q2へ進出。予選Q2に進出できなかったマシンは、予選Q1のタイムを採用。予選Q2に進出した16台のマシンは、トップ16を決める予選Q2で記録したタイムによって決勝レースのグリッドが決まっていた。
今季の予選は予選Q1とQ2のタイムが合算となり、どのマシンも2回の予選を走ることとなる。また予選から決勝レースのスタートまでは同じタイヤを履くことになっている。つまり、予選はどのチームもふたりのドライバーが走ることになり、予選Q2はユーズドの状態での戦いとなる。セッション2ではこの予選方法に沿った練習が実施され、岡山国際サーキットに駆け付けたファンとともに新しい予選を見守った。
公式テスト初日から一夜明けた17日(日)は前日とは異なり曇天から雨の一日となる。午前中のセッション3は3時間で、午後のセッション4は2時間の計5時間の走行スケジュールとなった。9時から始まったセッション3は河野選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込んでテストを開始する。
前日よりは低い10度台の路面温度での走行となるが、何事もなく決勝レースを想定したテストメニューを消化した。1時間45分が経過したあたりで予報どおりの雨が降り始め、チームは1時間ほど走行を中断する。最後はレインタイヤを履き、このセッションはふたりで50周を走行。ベストタイムは1分26秒522で10番手のタイムだった。
最後のセッション4は最初からウエット宣言が出され、全車がそろったスタート練習からレインタイヤでの走行となった。LMcorsaが装着するダンロップタイヤは、レインモデルも新しいトレッドパターンとなっていて、こちらのテストも進められた。
雨量は少なくコース上に水が溜まるほどではなかったが、最後までウエットコンディションで進行した。ドライバーは走り始めが吉本選手で、残り30分ほどを河野選手が担当。最後の5周は路面が乾きつつありスリックタイヤを履く状態となり、このタイミングで河野選手は4番手となる1分32秒719をマークした。
3月13日のシェイクダウンテストから4日間の走行となったが、ノートラブルで走り切り、想定していたメニューも消化できた。インターバルなく来週末には富士スピードウェイでの公式テストが行われ、4月13日には岡山国際サーキットで開幕戦が開催される。昨年は失意のシーズンを送ることとなったが、今季の滑り出しは順調で、シーズンでも同様の活躍が期待される。
飯田章監督
「新しいトラックエンジニアの元でスタートした今シーズンの公式テストですが、有意義でまとまりのある内容となりました。公式テストの前のスポーツ走行を含めると4日間のテストでしたが、今季用のスリックタイヤやセットアップなど多くの事柄を確認することができました」
「昨シーズンは歯車が噛み合わないことがあったのですが、今シーズンは持ち前のチームワークでシリーズランキングの上位を狙い、早い段階で表彰台に登れればと思っています。予選やタイヤのセット数など多くの変化があるシーズンですがどのチームも同じ条件なので、チーム力を磨いて戦っていきます」
吉本大樹選手
「今シーズンからトラックエンジニアが大阪トヨペットの社員に替わりました。もともとチームに携わってくれていたので経験も豊富で何の心配もありませんが、彼の仕事がしやすい環境作りも大事な要素でした。新トラックエンジニアのもとでのテストは順調に進み、想定していたメニューを消化できました」
「公式テスト前の走行と含めて4日間のテストは、新しいタイヤや複数のセットアップを試しました。タイヤは条件によって善し悪しがありますが、全体的にはポジティブな面が多かったように感じています。開幕戦までは、来週の富士スピードウェイの公式テストしかありませんが、今回のデータをもとに戦える状況に持っていきたいです」
河野駿佑選手
「11月のシーズンオフからファクトリーでは、マシンのリフレッシュや今季に向けたアップデートなど多くの作業を行ってきてくれました。今週がシェイクダウンとなったのですが、マシンの進化は多くの部分で感じ取れました」
「公式テストの前の2日間のスポーツ走行と合わせて4日間のテストは想定していたメニューを消化でき、上出来な印象を持っています。今季から使用できるタイヤのセット数が減ることや予選の方法が変わりますが、テストしたスリックタイヤもレインタイヤもそれなりの手応えがありました。マシンの状態も良さそうなので、今シーズンの開幕が楽しみです」