更新日: 2016.08.15 21:46
亜久里監督「大破した車を治すのは大変だった」
今年もSUPER GTはここ岡山国際サーキットで開幕を迎えた。ARTAは松浦孝亮をエースに昇格させ、パートナーにはARTAがカート時代からサポートしてきた野尻智紀を起用する事になった。野尻は昨年スーパーフォーミュラで優勝を遂げるなど、成長著しいドライバーだ。
チームは昨シーズン結果が出なかったものの、マシンのバランスは非常に良かったので、昨年の基本セットを元にオフシーズンのテストを重ねていった。
オフシーズンのテストではアンダーステアに悩まされ、その解決方法がなかなかみつからなかったが、開幕前の最後のテストでいくつかの改善策を実施する予定だった。しかし、初日の午後のセッションでマシンを大破させてしまい、テストメニューを消化する事が出来ず開幕を迎える事になった。
不安を抱えたまま、ARTA NSX CONCEPT-GTは路面が濡れている岡山のコースを走り始めた。最初にドライブしたのは松浦。しかし、持っていた不安はすぐに解消された。松浦は非常にバランスが良いと無線で交信してきた。試そうと思っていたセットが正解だったようだ。その直後にトップタイムをマーク。その時点で2番手に2秒近く差をつけるほど速さがあった。ウェットでのバランスは非常に良い事が確認出来たが、路面が徐々に乾いてくると、今度は逆にオーバーステアが強くなる傾向になった。オフシーズンのテストでは、セッティングを変更してもなかなか反応がなかったが、セット変更によりマシンがハッキリと反応を始めたので、チームの雰囲気はポジティブだ。
迎える予選は完全にドライコンディション。Q1は松浦が担当。各車、セッションが始まってもなかなかコースインせず、残り時間5分になったところで各車コースイン、タイムアタックが始まった。松浦は無線で前後の車の位置をピットに確認しながら、アタックに入っていった。ドライコンディションでのオーバーステア症状は消えておらず、悔しい13位でQ2進出はならなかった。しかし、明日は雨の予報。ウェットコンディションでのバランスは良いので、後方からの追い上げを期待したい。
鈴木亜久里監督のコメント
「富士のテストでマシンが大破しちゃって、修理してここまで持ってくるのは大変だったけど、オフシーズンのテストではアンダーに悩まされていたので、ここで思い切って大幅なセット変更をしてみました。それによってだいぶアンダーステアの消し方が分かってきたんだけど、本当は富士のテストでそれを試したかった。時間が少なくて、今日のセッションだけでは試しきれなかったけど、セットアップの方向性が見えてきたので、明るい材料が増えたと思う。明日は後方からのスタートだけど、ひとつずつポジションを上げられるように頑張ります」
佐藤真治エンジニアのコメント
「走りだしからオーバーだったんですが、その状態でウェットコンディションではタイムを出すことが出来ましたが、ドライになるとその症状が強く出すぎてしまい、タイムが出ませんでした。午前のセッションでもう少しドライで走れればおそらく違う結果になったと思います。明日は雨の予報なので、今朝の状態を持続出来るのであれば、期待出来ると思っています」
松浦孝亮選手のコメント
「今回新しい発想で車を持ち込んだんですが、ウェットコンディションではタイムが出たものの、ドライになってから違うフィーリングになってきてしまいました。自分達が望んでいた方向に向かっているのですが、行き過ぎた感じがしています。明日は雨のレースになりそうなので、慎重に戦って6位以内には入りたいと思っています」
野尻智紀選手のコメント
「朝のセッションではオーバーステアを消す方向で進めていましたが、それがちょっと行き過ぎた感じがしました。明日に向けて良いデータが取れたと思っています。雨でのバランスは良さそうなので、決勝では良いレースが出来ると思っています」