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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.08.08 22:14

HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2021 SUPER GT Rd.4
ツインリンクもてぎ

■日時 2021年7月17〜18日
■車両名 HOPPY Porsche
■場所 ツインリンクもてぎ
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/佐藤公哉
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選8位/決勝6位

「置いて」正解。

「ホピ輔、ノーマルGT3クラスのトップだよ。すごいよ。やってきたことが形になったね」と予選後、興奮気味に土屋武士監督が語ります。でも、予選順位は悪くないけど8位だよ。ノーマルGT3クラスのトップってどういうこと?

「GT300規定の車両は成り立ち自体が違うし、FIA-GT3のなかでもGT-Rだけはちょっといつも“アレ”が違うから」

 “アレ”ってあれのことだよね。確かにいつも1車種だけ別格な感じだけど……。

「ほら、Q1の(佐藤)公哉のタイムをみて。(1分)48秒251でしょ。Q2で5位の4号車が48秒265、6位の88号車が48秒266。今回のコンディションでGT3の限界が48秒2あたりということ。そのなかでベストタイムだから、ホピ輔がGT3一番だったということだよ」

 確かにそうやって、物差しを変えてみると一番だったんだね。褒められて悪い気はしないよ。でも厳しいことを言うと、(松井)孝允くんが確実にQ1を通して、Q2担当を公哉くんにして、Q2でドカーンといってもらったら、もっと上のグリッドだったんじゃないの?

「う〜ん。それはないんだな。この公哉のタイムだって、“置きにいった”タイムだから。『おりゃ』と気合入れて1コーナーに飛び込んだ次のラップはセクター1タイムダウンしてしまったという……。Q2で気合が入ったらたぶんダメだったと思う」

「置きにいく」ってどういうことなの公哉くん?

「ボク、実はちょっと前に盲腸の手術をして、術後に真剣アタックするのは初めてだったんだ。だからちょっと不安もあったし、Q1担当で絶対にミスできないということもあったから、まずは確実なタイムを出してから、さらにアタックしようと組み立てて、コントロールラインを通過したら、あれってという感じでターゲットとしていた48秒台中盤から後半を大きく超えるこのタイムが出たんだ。そこでさらにタイムを詰めようとしたらタイムダウン」

「置きにいく」とは、野球のピッチャーがストライクを欲しくてゆるい球を投げてしまうのと同じことかな。でもなんでそれでいいタイムが出たの、武士監督?

「それには根拠があるの。ホピ輔はリヤエンジンで後ろが重いこともあって、マザーシャシーのようにコーナーへの飛び込みでタイムを稼ごうとしたらダメなんだ。それをやるとタイヤがへニャと潰れて、そのままコーナーリングすることになってしまうから」

 ブレーキングは直線状態でがんばって、その後はできるだけコーナーのボトムスピードを維持するような組み立てが必要ということだよね。コーナーのなかでタイヤを転がすとも言っていた。この話って去年の最初にも言っていたし、公哉くんはもともとそれが得意なんだよね?

「そう。でも公哉はもともとおりゃっとコーナーに飛び込むタイプだったんだけど、ボクといっしょにスーパー耐久で組んでレクサスRC Fに乗った時に、徹底的にレクチャーしたから切り換えることができたんだ。でもね、孝允といっしょに乗るうちに、セットアップも含めてふたりしてだんだん飛び込みでがんばる方向に戻っていってしまっていたことにこの前、気づいたんだ」

 この前って、タイヤメーカーテストのことだよね。孝允くんがセットした後に武士監督が乗って、これじゃダメでしょと説教していたね。

「公哉のセットしたクルマに乗る別の機会もあって、やっぱりそこでも同じことになっていて、今回の藤沢からもてぎに向かう道中はふたりにずっと説教。ドライバーの頭の中に入っているROMを入れ換えた」

 孝允くんと公哉くんと武士監督は同乗して1台のクルマでもてぎまで移動していたけど、その途中でそんなことがあったんだ。レース前にそれってテンション下がりそうだけど、結果的にそれが実を結んだということだね。

「スーパー耐久はコントロールタイヤだから、コーナーで飛び込むとすぐにリヤが出てしまったりわかりやすいところがあるんだけど、GTだとタイヤがハイグリップだから、ついついいきたくなってしまうんだ。予選後にデータをみたら、やっぱりブレーキでいってなくて……(それが結果的によくて)難しいっす」

 公哉くんの気持ちもわかるなあ。ドライバーとしてはコーナーの飛び込みが見せ場だよね。「いやいや、ポルシェはジェントルマンになったような気持ちで乗らないと」と武士監督。ストップ・アンド・ゴーのもてぎだから、よけいにその運転の組み立てが大事だったみたいです。

2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

 導入からいきなり本題ですいません。ボクはホピ輔です。本名はHOPPY Porsche。今回もボクがスーパーGT第4戦もてぎのレポートをお届けします。導入にもあるように6月9〜10日の横浜ゴム主催タイヤメーカーテストで、セットアップの方向修正をしてタイヤを評価。さらなる進化を確認してレースに臨むことができました。

 ヨコハマタイヤの進化について、「構造とゴム両面で、去年だけでなく長年やってきたことが実を結びつつある。これも開発体制が強化されたことのお陰で、開発チームの組織がよくなったことで、積み重ねたことから結果を導き出せるようになってきてると思う」と武士監督。

 ポルシェが得意とするレイアウトのもてぎが舞台である反面、NAエンジンをリヤに搭載して暑さに弱い面もあるボクだけに心配もありましたが、冒頭にあるように予選から力を発揮することができました。

 レースの作戦としては、ボクが直線は上手でなくコース上での追い抜きが難しいことを念頭に、早めのピットインと2輪交換でアンダーカットする作戦を採りました。「去年のもてぎでは片側2輪交換をしました。今回持ち込んだタイヤからするとリヤ2輪だろうなと計画していて、そのプランどおりです」と木野竜之介エンジニア。

 スタートドライバーの公哉くんはレース序盤、61号車を90度コーナーでパスして7番手浮上。いつもならここから燃料が軽くなり前後バランスが改善したところでペースアップするのですが、51度という想定以上の路面温度に苦しんでペースを上げられません。23周目にピットイン。孝允くんに交代。リヤ2輪交換と給油を済ませてピットアウトします。その後、アクシデントで上位の2台がいなくなったことにも助けられて6位でゴールしました。

2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

「根本的にこれほど暑くなってしまったので、タイヤのレンジとしては外していました。それはウチだけではなく、ほとんどのチームがそうだったと思います。そのなかでタイヤを壊さずに最後までもたすことができて、ペースも維持してあの順位でした。ちゃんとレースして予選ポジションより前でフィニッシュする、レースで強く戦うことができてよかったと思います。次の鈴鹿はコース1周として考えると苦手なんですけど、要所で、このクルマのいいところをしっかり探っていきたいです。鈴鹿、SUGO、オートポリスとハイダウンフォースのサーキットが続きます。結果はもちろんのこと内容として収穫のあるレースにしたいなと思っています。また何かいろいろ考えてみます」(木野エンジニア)。

 ボクは去年からスーパーGTに参戦したからSUGOやオートポリスでレースしたことがありません。それが不安でもあり楽しみでもあります。まずは一番苦手な鈴鹿を攻略できるように木野さんに秘策を練ってもらおうと思います。

2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche
2021スーパーGT第4戦もてぎ HOPPY Porsche
2021スーパーGT第4戦もてぎ 松井孝允/佐藤公哉(HOPPY Porsche)
2021スーパーGT第4戦もてぎ 松井孝允/佐藤公哉(HOPPY Porsche)

松井孝允のコメント

「ボクたちの今のベストは尽くせました。ボクに代わってから最初はよかったのですが、燃料が軽くなってからフロントタイヤを交換していなかったのできつかったです。最初、公哉くんがオーバーステアできついと言っていて、2輪交換で最後はアンダーステアとなり、全体を通してみれば変化が大きいなかでバランスはとれていました。今後に向けての課題はエンジニアやタイヤメーカーの方に伝えさせていただきました。次戦もがんばります」

佐藤公哉のコメント

「ウォームアップの段階からロングがきついかなという印象があったのですが、レースに向けてセットアップしたことで確実によくなりました。スタート直後に、内圧とタイヤ温度の上げ方をマネージしたことで前が追いかけられる状況をつくることができました。終わってから考えてみると、61号車にけっこう抑えられたので、あの時間がもったいなかったなというのがあります。これで前と離れてしまいました。これだけ暑いコンディションですとリヤが厳しくなって、タレによってトラクションが失われました。ペースが上げられなかったので無線を入れて23周でピットに入れてもらいました。いい状態でレースさせてくれたチーム、そして戦えるタイヤをつくってくれたヨコハマさんに感謝しています。この調子でいくと次が楽しみです」

土屋武士監督のコメント

「今回、得意の茂木でのパフォーマンスは出せたと思います。でもほんのちょっと、5位の4号車AMGチームに負けていた部分があるので、そこが悔しいし改善できるところはまだあるということなのだと思います。今回のレポートの中にほとんどの内容が書かれていますが、この状況をみると25号車のみんなの努力が報われる日が来るのか、という不安が正直あります。誰にも平等にチャンスが訪れるような環境になりますよう願ってやみません。この声が届き、レースに関わる誰もが清々しい気持ちでいられますよう祈っています」


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