7月28日（金）発売のauto sport（オートスポーツ）2023年9月号（No.1587）はスーパーGT特集です。
巻頭は2024年のGT500クラスデビューに向けてシェイクダウンテスト敢行のホンダ・シビック・タイプR-GT。これまでのベース車両であるNSXと比べてスケーリングを受けても前面投影面積が減少。低ドラッグマシンに仕上げられる潜在能力を有します。
気になるのは5ドアキャビンの大きさ。リヤウイング効率への影響がどれほどあるのか、それをカバーする空力開発がどのように進むのか注目されます。
特集内企画その1は、19号車WedsSport ADVAN GR Supraインタビューです。7年ぶりのGT500優勝を遂げたTGR TEAM WedsSport BANDOH。タイヤに厳しい鈴鹿でなぜ完勝できたのか、エンジニアリング面も含めて坂東正敬監督に加え、国本雄資と阪口晴南にもじっくりと聞きました。現代GT500での戦いのシビアさが伝わってきます。
特集目玉企画は『GT500エンジン開発の10年』です。NRE（ニッポン・レース・エンジン）と呼ばれる2リッター直噴ターボエンジンを燃料流量制限で使用する現行規定が採用されてから10年。この10年の進化過程で苦労したポイント、大きな飛躍に貢献した技術の導入などエンジン開発の裏側を3メーカーに取材しました。
秘匿内容が多く含まれるため、出せる部分と出せない部分がそれぞれにありつつ、初公開の資料やパーツ写真を多数提供いただきました。なかには『見るだけなら……』という資料もあり、ピストンのシーズンを追うごとの変遷を示す説明資料もありました。開発が進み、筒内圧力が増すのに合わせてピストンの強度もアップ。どんどん見た目にもピストンがごつくなっていったのが分かりました。
この取材を通して、改めてスーパーGTでは、かつて国内に存在しなかった激しい熱い戦いを目撃しているということを実感しました。2013年までもエンジンの熱効率改善は進められていましたが、吸気制限では開発余地が少なく成果として現れにくい状況がありました。しかし、2014年からのNREでは、燃料流量規制のほかエンジン寸法の制約や共通ターボチャージャー使用の義務付けなどはありますが、効率改善への制約は少なく10年間ずっと、その競争が続いてきました。
3つのメーカーがこれだけの長期間激しいエンジン競争を継続しているカテゴリー自体、現在世界中を見渡しても数少ないですし、それが日本の国内中心のシリーズで展開されていること自体がモータースポーツファンとして恵まれた環境にあるのだと理解できました。
シーズンによって、あるメーカーが予選ブーストを使用していても、翌年は使用していないということもありましたが、それも開発過程での進化の現れでした。開発が進むことで次のシーズンには“予選ブースト”が決勝でも通して使用できるようになったということです。圧縮比が年々アップ、燃料と吸入空気量の割合いを示すラムダも年々アップ。パワーと燃費の戦いはまだまだ続きます。
さらなる特集の締めは坂東正明GTアソシエイション代表インタビューです。これは公表が早すぎるのでは……と一部でザワザワと波紋を呼ぶ内容が含まれております。オートスポーツ2023年9月号（No.1587）は7月28日（金）発売。内容の詳細と購入については三栄公式サイトまで。
