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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.06.06 10:50
更新日: 2022.06.06 11:21

apr GR86 GT 2022スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーGT | apr GR86 GT 2022スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round 3 SUZUKA GT 300km RACE
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
5月28日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:11,000人
5月29日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:21,000人

進化を遂げるapr GR86 GT3戦目にして入賞、8位でフィニッシュ!

 全8戦で争われるスーパーGTは鈴鹿サーキットで、早くも序盤戦最後となる第3戦『たかのこのホテル SUZUKA GT300km RACE』を開催することとなった。

 2台体制を採るaprは、1台をトヨタGR86に改め、『apr GR86 GT』として不動のコンビ、永井宏明選手と織戸学選手に託して参戦し、タイヤは信頼のヨコハマを使用する。大いに話題を集めているニューマシンだが、今はGT300車両全体が厳しいBoPを課せられており、正直、苦戦を強いられている。

 ここまで2戦、予選はいずれもQ1突破ならず。岡山国際サーキットの第1戦は21番手、富士スピードウェイの第2戦は22番手だった。しかし、決勝では着実に順位を上げており、第1戦は13位、第2戦は18位、そして何より大きなトラブルに見舞われていない。これは素性の良さを大いに物語っており、いずれ機の熟する時も訪れるだろう。

 だが、いたずらにその時を待つのではなく、むしろこちらから! 事前に富士スピードウェイでプライベートテストも実施し、新たなデータや方向性をつかんでいたこともあり、今回は躍進の機運も高まっていた。

公式練習 5月28日(土)9:30〜11:05

 公式練習は直前に行われたFIA-F4の予選中に、赤旗が3回も出たこともあって、当初の予定より5分遅れで開始された。温度は5月末とは思えぬほど高く、気温は26度、路面温度は36度からの始まりとなった。

 今回も最初に『apr GR86 GT』に乗り込んだのは織戸選手。持ち込みセットの感触も良く、ピットを離れて間もなくアタックモードに突入し、セッションベストとなる1分58秒383を記録する。その後、ピットに戻って早々と永井選手に交代、何度かピットインが繰り返されるが、短い時間でコースに戻されるのは、微調整の領域で済んでいることの何よりもの証でもあった。スタートから1時間ほど経過したところで、再び織戸選手の担当に。やはりセットの微調整を繰り返し、最適化を進めていく。

 そしてラスト10分のクラス専有走行では、永井選手による予選シミュレーションも。ここで1分58秒603と、織戸選手が最初に記したタイムと遜色なく走れたことは、この後の予選に向けての好材料となった。

 また、この後に行われたFCY訓練には、さらに詰めていったセットがなお、効果を発揮したようだ。実質1周の走行機会にもかかわらず、織戸選手は1分59秒214をマーク。ここまでの2戦以上に確かな手応えをつかんで、あとは公式予選に臨むだけとなった。

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

公式予選Q1 5月28日(土)15:13〜15:23/公式予選Q2 15:48〜15:58

 今回もGT300の予選は2組に分けられ、B組に振り分けられた30号車、『apr GR86 GT』。アタックは織戸選手が担当。気温は28度、路面温度が44度とやや上がったものの、そのあたりはしっかり対策済だ。1周が長いコースということとも併せ、ウォームアップはアウトラップともう1周に留め、計測2周目からアタックが開始された。

 1周にすべてを集中した織戸選手は、いきなり1分57秒650をマーク!Q1突破を確信した織戸選手は、これでアタックを終了し、ピットに戻ってくる。その結果、6番手につけることとなり、今シーズン初めて、永井選手にバトンをつなぐこととなった。

 続いてQ2に挑んだ永井選手は、織戸選手からアドバイスを受けて、計測2周目からのアタックは一緒ながら、1周目をややペースアップし、よりタイヤに熱を加えてからコースを攻めていく。この効果は絶大で、織戸選手の記録したタイムをも上回る、1分57秒521をマークする。最高の手応えを得られた永井選手は、早々にピットに戻ってくる。その時点でも6番手だったが、直後に2番手の車両が走路外走行により、当該タイムが採択されず、さらに再車検においてトップに車両規定違反があり、失格となってしまう。これにより長い選手は4番手に繰り上がり、『apr GR86 GT』は2列目アウト側の、絶好のポジションから決勝に挑むこととなった。

永井宏明選手
「公式練習とFCY訓練で、いろんなセットを細かく試して、それがうまくいきました。メカニックたちが本当に早く作業してくれたおかげで、いいセットにできて、織戸さんもいいアタックができてQ1を通ってくれたから、僕もいい状態で走れました。今までで最高ぐらい、順位だけじゃなく、本当にチャレンジできる車になっていました!プライベートテストで試したことや、すべて今までやってきたことが結びついて、今日の結果になったので、本当に良かった。決勝も、チームのみんなでゴールまで車をいい状態で運べれば、いい結果が出るんじゃないかって期待しています。入賞目指して、頑張ります」

織戸学選手
「いい雰囲気に車は予選前に仕上がって、最高でした。4番手ですからね。永井選手のアタックが素晴らしかった!僕はシケインでちょっとオーバーランして、それで1周でやめたんですが、どっちにしても1周しかタイムは出ないので。明日は温度上がってほしいですね。比較的ロング方向も悪くないので、最初のうちは抜かれちゃうと思うんですよ、ストレートが厳しいので。それでも淡々と作戦どおり走っていれば、きっとポイントは獲れると思います。できれば、表彰台に上がりたい。今回はヨコハマタイヤがすごくいいんでね」

金曽裕人監督
「やはり地元ということもあって、何かの後押しもあったんじゃないかな、って感じはしますね。クルマの方もセットアップはきっちり決まったし、アップデートしてきたものもしっかり動くようになりました。何よりセットアップがうまくいって、ヨコハマタイヤもすごくいいタイヤを準備してくれたおかげです。永井選手が得意としているサーキットなので、織戸選手と遜色ないタイムを出してくれて、過去最高の順位になっていますし、車は非常にパッケージングされてきたという印象です。決勝に関しては無理せず、淡々と走っていけば、それなりに結果もついてくるはずですから、欲を出さないでいこう、っていう感じですね!」

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

決勝レース(52周)5月29日(日)14:40〜

 この週末はサポートレースにセーフティカー(SC)が頻繁に入っており、日曜日の走り出しとなったウォームアップも10分遅れでの開始となった。それがスーパーGTに飛び火しなければいいのだが……。今回もスタートを担当する織戸選手から、『apr GR86 GT』は走行を開始。1周ごとにタイムを詰めていって、計測3周目には2分0秒932を記して、その時点での3番手につける。そして、ほぼ折り返しのタイミングで永井選手と交代するため、ピットに戻ってきた直後。

 デグナーを立ち上がった後のアンダーブリッジ先でGT300車両が激しくクラッシュ、即座に赤旗が出されて、セッションは終了となってしまう。幸い、ドライバーの無事はすぐ確認できたが、永井選手による最終チェックができなかったのは、ひとつの不安材料にも。しかし、話は前後するが、その心配は無用だった。

 4番手から決勝のスタートを切り、まずはポジションキープから織戸選手はレースを開始するも、1周目を終えた直後に、FCY(フルコースイエロー)となる。トラブルを抱えたGT500車両が、コース脇に止まってしまったからだ。80km/hでの低速走行は5分ほど続き、2周目には解除に。

 3周目に1台の先行を許したが、ある意味FCYのおかげで心配されていたほど、順位を落とさずに済んだのは流れが来ていたからなのかもしれない。しかし、間もなく『apr GR86 GT』は4番手に順位を戻す。先行していた車両にトラブルが生じたためだ。直前にシケインでクラッシュした車両もあったことから、今度はSCが導入されることに。これが3周にわたって、約15分続けられる。

 これで『apr GR86 GT』としては、燃費にもタイヤにも余裕が生じるが、50度を超す路面温度にタイヤが音を上げていた車両も少なからずあり、ミニマム周回数に達した16周目からは、続々とピットに滑り込んでくる。

 一方、『apr GR86 GT』は予定どおり23周目に、織戸選手から永井選手にバトンタッチ。その2周後に再びFCYとなり、そのタイミングに合わせられた車両の先行を許して、7番手で折り返すこととなったのは少なからぬ誤算ではあったが、レースはまだまだ何が起こるか分からない。実際、36周目に6番手を走行していた車両が、GT500車両の接触を受けてストップ。

 FCYからすぐにSCに切り替えられて、先導は5周に及んでいた。41周目のリスタートを永井選手はしっかり決めて、ポジションキープでバトルを再開。ラップタイムも極めて安定しており、6番手のままチェッカーを受けてくれることを誰もが確信した。ところが、最終ラップに入って総合トップの車両が、GT300クラス勢をラッセルしていく中で大渋滞が発生。その状況を猛者たちが見逃さぬわけもなく……。セクター4で2台の先行を許す。それでも苦戦が続いていた『apr GR86 GT』にとっては、これが初めての入賞。今後に期待をさらに抱かせる、8位という結果でレースを終えることとなった。

 次回のレースは8月6〜7日に、今季2回目の開催となる富士スピードウェイが舞台。そして、また450kmレースとしての戦いともなる。この勢いを、引き続き維持してほしいものだ。

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)

永井宏明選手
「地元のレースで、入賞圏内でゴールできたんで良かったです! 最後、展開が悪かったので、やられてしまいましたけど、無事にゴールできたのは何よりです。この流れで、より速い車に調整していきたいと思っています」

織戸学選手
「最終ラップで順位落としたのが、ちょっとだけ残念でしたけど、いいレースでした。永井選手の走りも素晴らしかった。車もいい感じだったんで良かった。だけど直線の遅いのだけは、どうにもならなかったですね。それでも、やっぱりいいレースでした。皆さんの応援のおかげです」

金曽裕人監督
「8位となりましたが、永井選手にとってみれば、アベレージも速かったし、車も良かったし、ドライビングも絶好調で6位でチェッカーも見えてました。でも、そこはレースの難しさで、ポジションアップした2台のドライバーはシンプルに速さだけじゃなくて、そういうテクニックを最後に出してきました。やはりスーパーGTのドライバー達は最高峰だと再認識しました。最後のあと数百mというところで抜かれたのは、悔しいですが、『上には上がいる』ことを認識できたのは、チームもドライバーも、すごい糧になったと思います。鈴鹿のレースは今年はあともう1回あるので、今から非常に楽しみです。車もピットワークも決まっていたし、まだまだ上位を狙えると思います。次回はあともう少しを取り返しに挑みたいです!」

2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)


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