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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.09.19 20:32
更新日: 2018.09.19 21:33

MotoGPコラム:不調のヤマハが2019年からV4エンジンへ移行か。技術規則から見た直列エンジンの弱点

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MotoGP | MotoGPコラム:不調のヤマハが2019年からV4エンジンへ移行か。技術規則から見た直列エンジンの弱点

「妥協案としては、年に1度のアップグレードを行えたらいいと思う。どのファクトリーもミスをする。数年前にはホンダが、昨年はスズキが、そして今年はヤマハがそうだ」

「大きな問題なのは、3月半ばの最初のレースに7基すべてのエンジンを作って封印しなければならないことだ。そのためにすべてのエンジン部品を3カ月前に注文しなければならない。実際のところ、ファクトリーはエンジンスペックをへレステスト後の11月末に確定させなければならないのだ」

「へレスとバレンシアでのテストの後で判断を下さなければならない。へレスとバレンシアでは寒い環境で走ることになるし、雨も降るかもしれないから、理想的なコンディションとは言えない」

 そしてこの状況は悪くなる一方だ。選手権のレース数が増加する一方で、冬期テストの回数は減っているのだ。

 ヤマハのレーシングディレクターを務めるリン・ジャービスもブリビオに同意している。「エンジンのコストを制限する主要な要素は、使用するエンジン数だ」とジャービスは語る。「エンジン数が同じであるなら、なぜシーズン中のアップグレードが許されないのだろう?」

■技術規則が生むV4エンジンのアドバンテージ

 スズキとヤマハがシーズン中に1回のエンジンアップグレードが進歩になると考えていることは、おそらく驚きではないだろう。そして現代のMotoGPでは、おそらくはその部分においてV4エンジンに真のアドバンテージを見出すことになる。なぜならそれ以外の方法で絶えずアドバンテージを得ることができるとは考えられないからだ。

 ドゥカティとホンダおよびKTMは、V4エンジンに外部フライホイールを取り付けているため、フライホイールマスと慣性を変えることでブレーキングの安定性とグリップ、コーナリング、トラクションを、エンジンの封印を破ることなく改善することができる。

アレイシ・エスパルガロ/アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ
アレイシ・エスパルガロ/アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ

 アプリリアは唯一外部フライホイールを使用していないV4ブランドだが、すぐにでも変えるかもしれない。外部フライホイールをV4に使用するのはもちろん簡単だ。V4はインライン4よりも幅が狭いエンジンだからだ。メカニックに必要なのは、軽いか重いフライホイールをクランクシャフトの端にボルトで留めることだけだ。

 スズキもヤマハも外部フライホイールを使用してないが、それは単にスペースがないからだ。彼らのエンジンは幅が広すぎ、地上高の問題が起きるからだ。

 もしヤマハが、グランプリ最初の数戦後にアップグレードを行うことで、クランクマスと慣性の問題を解決できたら、おそらく今年のチャンピオンシップはロッシとビニャーレスを交えてさらに面白いものになるだろう。なぜなら現在は、冬半ばにエンジンスペックに少しの間違いがあったことで被る不利益が大きすぎるからだ。11月下旬にクランクマスの選択を間違えたら、11カ月半後までそのミスのつけを払うことになる。

 おそらくヤマハとスズキは、クランクマスを調整できるように、V4エンジンへ移行するだろう。(たとえそれがヤマハYZF-R1やスズキGSX-Rのマーケティングキャンペーンを損なうことになったとしても)だが、MotoGPがすべてV4になってしまうのは残念なことだ。MotoGPクラスはすでに均質化されすぎているからだ。

 MotoGPの技術責任者を務めるダニー・アルドリッジは、MSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会)が同意するのならば、エンジン封印ルールを変えることに前向きであるとすでに示唆している。「それは彼ら次第だ」とアルドリッジは語る。

 最初の質問への答えだが、V4エンジンのYZR-M1はヤマハにとって違いを生み出すだろうか? 私はそうは思わない。チームは単に最近のミスから学ぶ必要があるだけだ。


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