スズキで開発ライダーを務め、日本最大の二輪レースイベント、鈴鹿8時間耐久ロードレースにも参戦する青木宣篤が、世界最高峰のロードレースであるMotoGPをわかりやすくお届け。第17回は、MotoGP2019年シーズンの予想と注目ポイントをお届けする。
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事実は小説より奇なり、なんて言いますが……。予想ってのはだいたい当たらないもので、現実の方がよっぽど面白いコトが起こるものです。MotoGPも然り。一応2019年シーズンのことをお話してみますが、まーまず当たらない(笑)。しかも今はマレーシア公式テストが行われる“直前”で、情報も少ない。皆さんもお気軽にお読みください。
■最注目はふたりのチャンピオン擁するレプソル・ホンダ
2019シーズンの注目は、何といってもレプソル・ホンダでしょう! ライダーはマルク・マルケスとホルヘ・ロレンソ。強い……。ここ10年でライダーズタイトルを獲得している現役ライダーは、このふたりとバレンティーノ・ロッシだけ(2011年チャンピオンのケーシー・ストーナーは引退している)。ロッシが2009年に1回、以降はロレンソ3回、マルケス5回と、もはやロレンソかマルケス以外にタイトルの可能性はないんじゃないかと思えるほどの集中ぶりなのだ。
マルケスはレプソル・ホンダで7年目でもはや盤石。ロレンソもホンダRC213Vの初乗りからかなりの好感触を得ている。ライダーとしての力量から言えば、現在のところ最高最強のふたりが揃ったことは間違いない。
世界王者なんてアクの強い連中ばかりだから、それがひとつのチームに揃うなんて、ガチガチの内紛が起こりそうなイメージも否めないが、マルケスとロレンソの場合はロッシとロレンソがヤマハで組んだ時ほどのことにはならないような気がする。
マルケスは「僕は僕だし~」とロレンソのことを気にしないだろうし、ロレンソも我が道を行くタイプ。このふたりがタイトルを争うことになっても、「強い方が勝つのが当たり前」と淡々と進行しそうだ。
唯一の不安要素は、フィジカル面だろうか。マルケスは肩の脱臼グセを直す手術を受けているし、ロレンソはモタードでのトレーニング中にケガをして左手首の舟状骨を骨折。ワタシも折ったことがあるけど、血液が通らない骨らしくてとにかく治りが遅いのだ……。
マレーシア公式テストも欠場がアナウンスされており、ちょっと心配だ。もちろん、シーズン中にどちらかがケガをしないとも限らない。……ただ、ホントにそれぐらいしか懸念がない。マシン、ライダー、そしてチームと3拍子が揃いまくりのレプソル・ホンダ。勝てない要素がちょっと見当たりません……。