ジャン・トッド、クリスチャン・ホーナーら、チームを常勝集団にしてきたチーム代表には、パドックにおいて共通した部分がある。それは、チーム内外を問わず、常にさまざまな人たちとコミュニケーションをとっていることである。そんな現在のF1のパドックで最も忙しくさまざまな人たちと会話しているひとりが、メルセデスのビジネス部門のエグゼクティブディレクターを務めるトト・ウォルフだ。
例えば、F1カナダGPのスターティンググリッドではこんなことがあった。長谷川祐介ホンダF1総責任者と単なる挨拶だけでなく、何やら真剣な表情で会話をしていたのである。
マシンをスタートさせるエンジニアやメカニックではないウォルフが、スターティンググリッドにいられる時間は正味、10分から15分程度と意外と短い。その限られた時間の中で、自チームのスタッフの仕事をチェックし、ドライバーを激励し、ゲストをもてなしたりと、チーム代表ともなるといろいろと忙しい。そんなウォルフが単なる挨拶だけでなく、ライバルメーカーの開発責任者と短い時間ではあるが、会話をしていたのである。
いったい、ウォルフは何を話していたのだろうか。カナダGPのレース後にウォルフを直撃した。
1 2