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F1 ニュース

投稿日: 2019.08.29 12:00
更新日: 2019.12.27 19:51

【ホンダF1を語りつくす座談会(4)】注目集まる2020年のシート争い。動き始めた移籍情報と日本人F1ドライバーの可能性

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F1 | 【ホンダF1を語りつくす座談会(4)】注目集まる2020年のシート争い。動き始めた移籍情報と日本人F1ドライバーの可能性

 2019年シーズンも今週末からいよいよ後半戦。そんななか、この夏には早くもドライバーの移籍情報、ストーブリーグに関する話題が聞こえ始めました。

 その最中、7月末に行われたF1第11戦ドイツGPでは昨年スーパーGTとスーパーフォーミュラでタイトルを獲得した山本尚貴選手が現地を訪問。第17戦日本GPでのフリー走行出走を検討していることが明らかになり、大きな話題となりました。

 最終回となる今回は、その2020年のドライバーラインアップ&移籍予想、そして将来の日本人F1ドライバー誕生の可能性などについて、オートスポーツwebでもお馴染み、1987年よりF1の取材を行うジャーナリストの柴田久仁夫氏と、16年以上にわたって毎年全レースを現場で取材している尾張正博氏に話を聞きました。

──────────
──(MC:オートスポーツweb)この座談会最後のテーマとなりましたが、最終回はストーブリーグ情報も含めて、2020年のドライバーラインアップ予想についてお伺いします。レッドブル・ホンダではピエール・ガスリーの成績が振るわず、アレクサンダー・アルボンとのドライバー交代もありましたが、まずはレッドブル・ホンダとトロロッソ・ホンダのラインアップ関してどうお考えですか?

柴田久仁夫氏(以下、柴田):結局アルボンが2019年シーズンの後半をレッドブルで走ることになったけど、2020年のラインアップがどうなるかはまだ全然未定。アルボンの走りを見極めて、そのまま行くのか、(ダニール)クビアトにするのかを決めるんだろうね。

尾張正博氏(以下、尾張):来年は間違いなく変更するだろうね。レッドブル育成ドライバーのなかには、過去に在籍していたドライバーで、まだF1の現役ドライバーもいるから、電撃復帰もあるかも。

──もしかして、尾張さんは何か極秘プランをお持ちですか?

尾張:冗談の部分もあるけれど、セバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)のレッドブル復帰だよ! フェラーリが勝てないままだったら、レッドブルに戻ってきたほうがいい。今ならフェラーリから引き抜ける。

柴田:今だったらレッドブル・ホンダのほうが、ベッテルものびのびとレースができるはず。

尾張:ただこれは半分冗談、いやもう半分は冗談ではないけれど、僕が思うにベッテルは2020年に1年間休養して、2021年からレッドブルに戻ってくるべきだと思う。

2019年F1第12戦ハンガリーGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2019年F1第12戦ハンガリーGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

──それは衝撃のプランですね!

柴田:来年のレッドブルではなくて? とはいえ、今年はレースウィーク中にベッテルが何度もレッドブルのモーターホームに行っているんだよね。

尾張:レッドブルのクルマは良いんだけど、(2021年からレギュレーションが変更されるので)2020年の1シーズンのためだけにレッドブルには行きたくないと思う。

 それと、レッドブルとホンダとの2021年以降の契約も決まっていない。だから早くホンダと契約を締結することをF1パドックのみんなが望んでいる。もし万が一ホンダがF1から撤退してしまったら、とんでもないことが起こるから。

──2018年までパワーユニット(PU)の供給を受けていたルノーともう一度レッドブルが組む可能性はどうでしょう?

尾張:ルノーは以前レッドブルからあれだけ文句を言われたのだから、ないでしょう。

柴田:でも実際の選択肢はルノーしかないよね。レッドブルは車体が強力なので、メルセデスやフェラーリは自分たちが負けるリスクを取ってまでPUを供給したくない。

尾張:でもルノーも、今の成績のままでは撤退する可能性が十分ある。だからホンダとルノーがこの先うまくやってくれないとF1界にとってもよくないことだよね。ルノーにはせめて今シーズン中に一度くらいは表彰台を獲得してもらわないと。

柴田:しかも今は、ワークスのルノーF1チームが同じパワーユニットを使うマクラーレンに負けているというのも非常にまずい。

──ダニエル・リカルドがルノーからレッドブルに戻ってくる可能性はありませんか?

柴田:個人的にはリカルドに戻ってきて欲しい。もし今年、はじめからリカルドとマックス・フェルスタッペンのコンビだったら、もっと素晴らしい成績だったと思うな。

尾張:でも、さらに関係がこじれそう(苦笑)。というか、リカルドは一番間違った道を行ってしまった。

柴田:ルノーへの移籍はお金の問題が原因ではないと思うけどね。ホンダのパフォーマンスへの疑問はたしかにあったんだと思う。

尾張:聞いたところによると、ホンダへの疑問というのは移籍を決めた理由としては3番目みたい。1番の問題は『レッドブルのフェルスタッペン体制』への不満で、2番目がお金の問題。パフォーマンスへの疑問は3番目だった。

 でも本来ならホンダへの疑問が1番にくるようでないと、F1ドライバーとしてはダメだよ。ドライバーはチームメイトどうこうよりも、このマシンが勝てるマシンなのか、勝てるPUなのかというのが大事で、お金はタイトルを獲得したら後からついて来るものだからね。

柴田:リカルドは、2013年にハミルトンがマクラーレンからワークスのメルセデスへ移籍してタイトルを獲得したのを見て、同じ夢を見たのかもしれない。ワークスチームというのは、ドライバーにとってそれだけ魅力的なんだろうね。

 でもルノーがこんなにダメだとも思っていなかっただろうけどね。リカルドが2014年にトロロッソからレッドブルに昇格したときは、ベッテル体制だったチームのなかで実力を発揮してベッテルを倒したのだから(2014年のドライバーズランキングではリカルドが3位、ベッテルが5位)、移籍の一番大きな理由が体制への不満というのは残念だよね。

──なるほど。ではレッドブルと同じくドライバーラインアップについてさまざまな噂が飛び交っているメルセデスですが、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスは安泰ですか?

尾張&柴田:いやいや、全然安泰ではないよ。

尾張:ボッタスは厳しいんじゃないかなあ。

柴田:メルセデス離脱の可能性は非常に高いと思います。

──開幕からのスタートは良かったのですが(開幕戦オーストラリアGPと第4戦アゼルバイジャンGPで優勝)、それ以降のパフォーマンスが問題でしたか?

柴田:ボッタスはもう限界が見えてきているよね。すごく良いドライバーだけど、年齢的にもこれからさらに伸びる余地はないかなと思ってしまう。

──そうなると、ボッタスの代わりは……

尾張:やはりエステバン・オコン(メルセデスのリザーブドライバー)しかいないんじゃないかな。トト・ウォルフ(メルセデスのチーム代表)がオコンかボッタスと言っているし、オコンになるだろうね。

柴田:でもオコンはボッタスより良いドライバーなのかな。オコンを乗せるなら、ジョージ・ラッセル(現ウイリアムズ/メルセデスの育成ドライバー)の方がいいと思うけど。

2020年のルノーF1移籍が報じられているエステバン・オコン
2020年のルノーF1移籍が報じられているエステバン・オコン

──ウォルフ代表は、ラッセルを乗せるにはまだ早いと言っているんですよね。

柴田:いや~、もう大丈夫だと思うけどな。ウォルフがなぜオコンにあれほど肩入れしているのか疑問なんだよね。フォース・インディア(現レーシングポイント)在籍時代にオコンがセルジオ・ペレスを圧倒したかと言うと、それほどではない。それにオコンはフランス人の悪いところも持っていて、とにかく文句が多い(笑)

尾張:フェルスタッペンもよく文句を言うけれど、その内容が違うんだよね。僕が思うには、エンジニアにとって的確な文句はどんどん言ってくれたほうが良い。

柴田:そう。オコンの文句は、そういう種類の文句とはまた違う文句なんだよね。フランス人は言い訳の天才だから(苦笑)。


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