逆に当初の予定にありながら、まだ開催しておらず、正式に中止という発表もないのが、オーストラリアGP、ベトナムGP、中国GPの3つだ。
オーストラリアGPに関しては、当初開幕を予定していた3月13日に突然の中止を発表してたが、それはサーキットに詰めかけた観客の混乱を沈めるために使用された言葉であって、オーストラリア・グランプリ・コーポレーションCEOのアンドリュー・ウェスタコットは「チャンスがあれば、シーズン後半に開催したい」とも語っていた。
そこで鍵を握るのがベトナムの存在だ。オーストラリアはフライアウェイラウンドとなり、機材をチャーター機で輸送しなければならないのだが、ヨーロッパからの中間点にあるベトナムとの連戦となれば、輸送費をベトナムと折半できるからだ。
ただし、オーストラリアは7月上旬の段階でオーストラリアへの渡航者のすべての入国を禁止しており(オーストラリア市民および永住者を除く)、ベトナムもすべての国・地域からの外国人の入国を停止するという、オーストラリアと同様に厳しい入国制限が続いており、現時点でF1を開催できる状況にない。
中国に関しては、ビジネス目的に限って、外国人の入国制限の緩和を進めており、中国GPの主催者もレース再開を望んでいることを考えると、主催者がF1開催に関してなんらかの特例を設け、F1開催を積極的に招致しても不思議はない。
ただし、F1に限らず、ヨーロッパの多くの諸国が、新型コロナウイルスの感染が世界で最初に拡大した中国で事業を行うことを敬遠し始め、外資系企業が中国から相次いで撤退するような状況を考えると、それらの企業との結びつきが強いF1が中国でレースを行うのは現実的には難しいだろう。
そうなると、現時点で2020年のF1は、バーレーンでの2連戦と最終戦アブダビGPを加えた全16戦に収まりそうだ。