第7戦エミリア・ロマーニャGPでは、以下の4人が新しいパワーユニットを投入してきた。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
ローガン・サージェント(ウイリアムズ)
ケビン・マグヌッセン(ハース)
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)

 このうち、ルクレールを除く3人がパワーユニットの主要4コンポーネントに2基目を投入。ルクレールのみ、3基目となった。またRBのダニエル・リカルドと角田裕毅が2基目のES(エネルギー・ストア)を投入したほか、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、RBのリカルドと角田が2基目のCE(コントロールエレクトロニクス)を投入した。

 ルクレールは第6戦マイアミGPで主要4コンポーネントに2基目を投入したばかりで、連続での新コンポーネント投入となった。これはフェラーリにとってイモラがパワーサーキットで、地元マラネロから最も近い地元グランプリであることも関係しているのだろうが、チームメイトのカルロス・サインツが1基目のままということを考えると、ルクレールの2基目になんらかの不安要素が発見された可能性がある。

 エミリア・ロマーニャGPから2週連続での開催となった第8戦モナコGPには、新しいパワーユニットを投入するドライバーはいなかった。舞台となるモナコ市街地サーキットが、低速コースだからだ。しかし、そのようなモナコでもパワーユニットの調整は必要不可欠だ。ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーは、こう説明する。

ホンダ・レーシング(HRC) 折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャー
折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャー

「モナコは最もエンジンのパワー感度が低いコースです。最も高いモンツァに対して、その半分ぐらいだと言ってもいいです。そのため、パワーユニット間の差が縮まるコースだとも言えます。ただ、パワーに関しては現在はどこも似たようなものなので、モナコだからといって、特に不利を被るということはないと思います」

 そのモナコでパワーユニット面で重要となるのが、ドライバビリティだと折原GMは語る。

「というのも、モナコでは使用するエンジン回転数が通常とは異なる領域となるので、そこでの調整が重要となります。ほかのサーキットでも低速コーナーはありますが、それでもクルマはある一定の速度で走っているので、5000回転以下になることはほとんどないですが、モナコではヘアピンなどの低速コーナーは回転が大きく落ちるので、その領域でのドライバビリティが重要になります」

 パワーユニットに関して、モナコで調整が必要になる領域がある。それはエネルギーマネージメント(エネマネ)だ。

 モナコはそもそも1周が短いため、フルデプロイできるサーキットだ。そのため、レースではペースが遅くて前車を抜けないままだと、バッテリーに電気がどんどん溜まってしまう。バッテリーが100%になると、ブレーキからの回生エネルギーが蓄電できなくなってしまい、ブレーキングのフィーリングが変わってしまう。それを避けるため、モナコではレース中にブレーキ以外から電気を必要以上発生させないようにしているという。

「適度に貯めて、適度に使用するというのがモナコでのエネマネでは大切になってきます」

 そのモナコGPでは優勝したルクレール同様、超スローペースに持ち込み、9番手以下を抑えるという角田裕毅(RB)の走りも光った。RBの戦術に合わせて、ホンダRBPTのスタッフもデプロイを1周を最も速く走るための「ラップタイムベスト・モード」から、ストレートで抜かれないよう「ディフェンス・モード」に切り替えるようドライバーに指示。角田のモナコGP初入賞をアシストしていた。

2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)

2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)
2024年F1第8戦モナコGP 角田裕毅(RB)

本日のレースクイーン

松田蘭まつだらん
2025年 / オートサロン
AUTOWAY/東京オートサロン2025
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    もっと見る
  • auto sport

    auto sport 2025年4月号 No.1606

    [検証]F1史上最大の番狂わせ
    ハミルトン×フェラーリ
    成功の確率

    詳細を見る