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F1 ニュース

投稿日: 2022.12.27 14:35

早い段階で開発に成功したアルファロメオ。アストンマーティンは大胆なアップデートが成功/2022年F1戦力分析(2)

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F1 | 早い段階で開発に成功したアルファロメオ。アストンマーティンは大胆なアップデートが成功/2022年F1戦力分析(2)

 新たな技術規則が導入され、前年までとはまったく異なるマシンが誕生した2022年シーズンのF1。マシンの特徴やシーズン中のアップデート、ドライバーのパフォーマンスなどから、各チームの戦力を振り返る。第2回となる今回は、コンストラクターズ選手権6位のアルファロメオ、7位のアストンマーティンだ。

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 開幕4戦を終えた段階で、フェラーリ、レッドブル、メルセデス、マクラーレンに次いで、コンストラクターズ選手権で5位だったのは、アルファロメオだ。

 アルファロメオのファクトリーがあるスイス・ヒンウィルには、ザウバーエンジニアリングが所有する非常に優れた風洞施設がある。これは自チームのF1マシンの開発に使用しているだけでなく、必要に応じて他メーカーにも貸し出しており、アウディがWEC世界耐久選手権のLMP1プログラムに参戦していた際に使用していた。

 その風洞施設によって開発されたC42は、2022年の空力のトレンドをいち早く取り入れたマシンとして進化を遂げていった。そのトレンドとは幅の広いサイドポッドとリヤの絞り込みを抑えたものだった。

 開発の方向性が早い段階で正しい方向へと導かれていたことをうかがわせたのは、マシンの重量がシーズン序盤の段階でどのチームよりも軽かったことだ。ダウンフォースを得るための余計な空力パーツも、ポーパシングを抑制させるためのフロア補強も最小限しか必要なかったものと考えられる。

 エミリア・ロマーニャGPの会見で当時チーム代表を務めていたフレデリック・バスールが「一部のチームが、国際自動車連盟(FIA)に開幕直前に最低重量の引き上げを要請してFIAが変更したことは、まったくもって不公平なこと。ほかのチームが最低重量を達成できなかったのは、レギュレーションに問題があったのではなく、彼らの開発に問題があったからだ」と語気を強めていた。

 当初、2022年の最低重量は795kgだったが、プレシーズンテスト終了後に3kg引き上げられ、798kgとなった。現在のF1マシンの重量感度は3kgあたりコンマ1秒と言われている。これにより、アルファロメオのアドバンテージは想定よりも小さくなり、さらにライバルチームの軽量化によって、徐々に小さくなっていった。もし、最低重量の引き上げがなければ、アルファロメオのポイントはもう少し伸びていただろう。

 それでもアルファロメオは55点を獲得し、コンストラクターズ選手権6位の座を獲得。アルファロメオが6位となるのは2019年にアルファロメオの名前が復活して以来、初めて。また前身のザウバー時代に遡っても、小林可夢偉が在籍していた2012年以来、10年ぶりのことだった。

 その快進撃を支えていたのは55点中49点をひとりで稼いだバルテリ・ボッタス。エミリア・ロマーニャGPで昨年まで在籍していたメルセデスのジョージ・ラッセルを追い回して獲得した5位入賞は、2022年のハイライトだった。最終戦でアストンマーティンにポイントで並ばれたが、この5位獲得によって、コンストラクターズ選手権6位を守り切った。

2022年F1戦力分析(2)
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)

 このアルファロメオと最終戦まで激しいコンストラクターズ選手権6位争いを演じたのがアストンマーティンだった。アストンマーティンのサイドポッドも、アルファロメオ同様、2022年のトレンドを取り入れたものだったが、開幕3戦を終えた段階でじつはアストンマーティンは唯一、無得点の最下位に沈んでいた。

 アストンマーティンが浮上できたのは、大胆なアップデートだ。プレシーズンテストからパフォーマンス不足に悩まされ、開幕戦でも不発に終わったハイノーズをバーレーンGP後にスパッと見切りをつけ、第2戦サウジアラビアGPからノーズの下にメインプレートを配したオーソドックスなフロントウイング仕様に変更した。

2022年F1戦力分析(2)
ハイノーズ仕様のフロントウイング(バーレーンGP)
2022年F1戦力分析(2)
ノーズの下にメインプレートを配したオーソドックスな仕様に変更(サウジアラビアGP)

 さらに開幕時点で最も重かったと言われている重量を減量していった。これらのアップデートでアストンマーティンは第4戦で2022年初入賞を果たしてランキング最下位を脱出。第9戦カナダGPで8位に上がり、第17戦シンガポールGPで7位まで挽回していた。

 シンガポールGP終了時点で15点差あったアルファロメオとの差のうち13点をチームに持ち帰ったのが、2022年限りでF1を引退したセバスチャン・ベッテルだった。アストンマーティンで共に仕事をした松崎淳エンジニアは「速いだけでなく、技術的な理解度が高く、人間としても魅力的なバランスがとれたドライバーでした。引退までの最後の数戦の活躍は我々の予想を超えるもので、ドライバーがクルマのポテンシャルを絞り出してくれたおかげです。一緒にレースができて本当に楽しませていただきました」と、元4冠王者の走りを称えていた。


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