歴史的転換点を迎えた南米大陸アルゼンチンを代表する“技術的最高峰”のツーリングカー選手権、TC2000の開幕戦が3月1〜3日にエントレ・リオス州のアウトドローモ・シウダード・デ・コンコルディアで開催され、予選ではYPFホンダRVレーシングのベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)がキャリア通算5回目のポールポジションを獲得。決勝でもレース1こそルノー陣営アクシオン・エナジー・スポーツTC2000の“3冠”王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)に先手を奪われたものの、続く最終ヒートではチャンピオンとの直接対決を制したラヴァーが、ホンダ陣営に同地での初勝利をもたらした。
今季より段階的にB〜Cセグメント級のSUVをベースとした新車両規定が導入されることとなり、すでにシリーズを代表して小型クーペSUV『VW Nivus SUV(フォルクスワーゲン・ニーヴァス)』こと“プロトタイプ001”のテストが続いているTC2000だが、その44年目の歴史的転換点を前に、FFツーリングカーとして世界最速の地位を築いて来た歴代モデルが集結する開幕戦の日を迎えた。
レースウイークが迫るにつれ、首都ブエノスアイレスの目抜き通り(フィゲロア・アルコルタ通り)にある国営エネルギー企業YPFのステーションや、現地1日(金)には開催地至近となるエントレ・リオス市の5月25日広場で立て続けに盛大なラウンチパーティが催された。
その席上にて、今季よりシリーズ復帰を果たす2006年、2007年、2011年、2013年、そして2020年“5冠”王者のマティアス・ロッシは、次のように抱負を述べた。
「コンコルディアはとても好きなサーキットであり、可能な限り最高のかたちでスタートできると楽観的に思っている。僕はチャンピオンシップを目指して戦うという明確な目標を持って戻って来たし、TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアとともにしっかり戦っていきたいという思いで臨んでいる」と、近年は隣国SCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”で活躍を演じ、シリーズ史上『最も成功を収めた国外出身ドライバー』と称されるロッシ。
「カテゴリーから距離を置いた時期でもつねにチェックは欠かさず、そこにいるドライバーのレベルも知っている。チーム全員で戦っていくつもりさ」
同じく昨季の連覇で自身の持つ史上最年長王者記録も更新したペーニャは、新たなチームメイトも迎えて挑む新シーズンに向け、仇敵のシリーズ復帰を歓迎する言葉を残した。