TCR規定ツーリングカーのリージョン選手権最高峰となるTCRヨーロッパ・シリーズの2019年最終戦がイタリア・モンツァで開催され、TCRドイツ連覇の実績を持つジョシュ・ファイルズ(ヒュンダイi30 N TCR)がフィナーレを勝利で飾り、タイトル獲得を有終の美で飾った。しかし、レース後にTCRテクニカルデリゲートと技術部門のスタッフにより「ヒュンダイのECUソフトウェアを検証する」との声明が出され、シリーズ最終結果は暫定扱いとなっている。
10月11~13日にイタリアが誇る超高速サーキットを舞台に開催されたシリーズ最終戦は、各陣営が地域選手権や国内選手権からの有力ドライバーをゲスト参戦させ、総勢34台ものエントリーを数える活況を呈した。
この最終戦直前にもシリーズのコンペンセイション・ウエイトが見直され、アウディRS3 LMSが40kg、ルノー・メガーヌR.S.TCRが30kg、そしてプジョー308TCRが10kgを搭載。セアト・クプラTCRや兄弟車のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRは-10kgと軽減されたのに対し、選手権タイトルを争うヒュンダイとFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRは60kgを据え置きとされ、ともに1300kg越えのマシンでトップスピードが物を言うトラックでの勝負に挑んだ。
するとこの土曜予選セッションでフロントロウを独占したのは、王座を狙うランキング2位のジュリアン・ブリシュと、そのアシスト役を買って出た実力者オーレリアン・コンテのプジョー308勢で、JSBコンペティション、DGスポーツ・コンペティションとエントリーチームの異なる2台は互いに引っ張り合うように隊列を組み、「F1のように“トウ(スリップストリーム)”を活用することが重要だと思っていた(ブリシュ)」と、金曜プラクティスで最速を誇ったヒュンダイ勢を撃破するサプライズを見せた。
そのまま迎えた決勝レース1でもプジョー艦隊は一糸乱れぬチームワークを見せ、13周のレースで3位以下を4秒近く引き離す完璧なレースを披露。ブリシュがシーズン4勝目を記録し、ポイントリーダーのファイルズに対し10点差を削ることに成功した。
一方、予選9番グリッドに沈んでいたファイルズも、ドイツ・シリーズ連覇をともにした王者ターゲット・コンペティションのマシンをドライブするプライドを見せ、最終的に3位表彰台まで挽回してフィニッシュ。最大40点が獲得可能な日曜レース2を前に、そのアドバンテージを33点とした。
そして日曜11時35分からのシーズン最終レースは、予選トップ10リバースグリッドの規定がタイトル争いをドラマティックに演出する役目を果たし、最速ポールポジションを獲得していたブリシュは10番手からの挽回を強いられたのに対し、9番手タイムだったファイルズは最前列フロントロウ2番手からのレースに。