ヒュンダイ・モータースポーツは、2020年のプレイベント開催に向け始動しているTCR規定を採用した電動ツーリングカー選手権“ETCR”用の新型モデル『ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR』のシェイクダウンを完了。9月末にも電動コンポーネントを供給するウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(Williams Advanced Engineering/WAE)のシステムインストールを終え、イギリスのテストトラックで300kmの初走行を実施した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で初年度のカレンダーが大きく変更されたETCRだが、その余波は初の電動ツーリングカー車両開発の分野にも及んでいた。
すでにシリーズ参戦を表明しているヒュンダイ、クプラ、アルファロメオ、そしてMGの各マニュファクチャラーともに、ここまで電動コンポーネント供給を行うWAEの拠点イギリスに往来することを著しく制限されており、車両開発は大きく遅延する状況となっていた。
しかし2020年も9月下旬となり、WAEによって製造されたETCRシリーズの“Lab Car(ラボ・カー)”を使用し、開発拠点のワークショップでヒュンダイ・ヴェロスターに4日間を掛けて電動システムをインストール。バッテリーやモータージェネレーターを筆頭に、大規模なクーリングシステム、車両制御と充電用のモジュール、高電圧対応のハーネスやケーブル類を搭載。
さらにそれら機器の接続テストやソフトウェアの更新と確認、センサーやボタンの機能確認、DCDCコンバーターやインバーターの初期チェックにモジュール類のキャリブレーションなど、あらゆる電動システムの初期設定作業が行われた。
こうして初期確認を経たマシンは、イギリス・バンブリーにほど近いコッツウォルズ地方の閑静な地域に位置する“グレート・ティー”のテストコースでシェイクダウンを実施し、初走行で300km以上の距離を走破した。
そこでは特別な高電圧システムの作動確認とともに、レースフォーマットで採用される数々の機能が調整され、プッシュ・トゥ・パス、スロットルペダルのキャリブレーション、そして“E-stop”と呼ばれるセーフティシステムの承認が行われた。