独自規定を採用し、創設60周年を経た今も世界をリードする最高峰ツーリングカー・シリーズ、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2020年第7戦が10月10~11日にクロフトで開催され、ジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTCレーシング)が2戦連続優勝を達成。最終ヒートではスピードワークス・モータースポーツのトム・イングラム(トヨタ・カローラBTCC/TOYOTA GAZOO Racing UK・ウィズ・ギンスターズ)が予選失格の失意を挽回する勝利を飾り、ホンダ・シビックとトヨタ・カローラが表彰台を占拠する活躍を演じた。
全9戦に短縮された2020年BTCCシリーズもいよいよ終盤戦を迎え、クロフトの週末を含め残すは3戦。タイトル争いへの緊張感が高まる予選は、直前の降雨でフルウエットと化す厳しい条件となり、タイトル候補者たちに次々と試練が襲いかかる。
その最初の犠牲者となったのが選手権首位を行く2017年王者アシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/レーザー・ツール・レーシング)で、フライングラップで最速タイムを計時しながら最終セクターに差し掛かったところで、チームメイトのエイデン・モファット(インフィニティQ50BTCC/レーザー・ツール・レーシング)が1コーナーでコースオフ。これで赤旗中断となり、サットン渾身のアタックは無に帰すことに。
さらにセッション再開後はサットン自身も僚友モファットをなぞるようにコースオフを喫し、無念の6番手で予選を終えてしまう。
またトヨタ・カローラBTCCのイングラムも最速タイムを記録してセッションを終えるも、予選後の車検で最低地上高違反が発覚し、同じくライドハイト規定に抵触したセナ・プロクター(ヒュンダイi30ファストバック Nパフォーマンス/エクセラー8モータースポーツ)とともに、タイム抹消の失格処分が下される。
後にイングラムのカローラは右フロントロワアームの破損が確認されるも、ルールはルールとして裁定は覆らず。この結果、FK8シビックのクックがポールポジションを獲得し、2番手にもFK2シビックのジェイク・ヒル(ホンダ・シビック・タイプR/MBレーシング・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)が並ぶフロントロウに。
背後のセカンドロウには王者コリン・ターキントンにトム・オリファントが続き、タイトル争いを続けるチームBMWのBMW330i Mスポーツが最も優位なポジションでレース1に臨むこととなった。
明けた日曜は天候も好転し、オープニングレースからドライコンディションでの勝負になると、先頭を走る2台のシビックは独走状態に持ち込んでそのまま15周を走破。クックが幸先よくポール・トゥ・ウインを飾り、最後の表彰台スポットにもターキントンが続いて、予選グリッド位置と変わらぬリザルトとなる。
その背後では2度目の戴冠に向け執念を見せるサットンがドラマティックなレースを繰り広げ、スタート直後のバトルで今季好調のロリー・ブッチャー(フォード・フォーカスST/モーターベース・パフォーマンス)に押し出され14番手まで後退するも、怒涛のチャージを披露して5位までカムバック。