シリーズ5冠を目指し、すでに契約更改を終えているエースのコリン・ターキントンに続き、2021年もチームBMWとしてファクトリー支援を受けるWest Surrey Racing(ウエスト・サリー・レーシング)は、3台体制復帰に向けて残る2台のドライバーラインアップを発表。在籍3年目のトム・オリファントが残留し、最後の席には10年ぶりのチーム復帰となるステファン・ジェリーの起用がアナウンスされた。
これにより、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の余波で2020年を前にWSR離脱と苦渋の決断を下していた、2013年王者アンドリュー・ジョーダン復帰の可能性は潰えることとなった。
2年連続でBTCCイギリス・ツーリングカー選手権のチャンピオンチームに輝くWSRは、2017年からファクトリーマシンの2台に加えて、Pirtek Racingのパーソナルプログラムで戦うジョーダンを含めた3台体制でBTCCを戦ってきた。
そしてBMW330i M-Sportにスイッチした2019年には、ターキントンとジョーダンがチーム内でのチャンピオン争いを繰り広げ、僅差ながらターキントンが歴代史上最多に並ぶ4度目のタイトルを獲得している。
しかしそのジョーダンはCOVID-19が拡大しつつあった2020年開幕直前、恒例の合同テスト“メディアデイ”に参加したのち、2020年シーズンからの電撃撤退を表明。当時「これは本当によく考えて、検討に検討を重ねた上での結論なんだ。多くの人々がその現状に直面し、これが現実であると認識していると思うが、現在の情勢や雰囲気は僕たち全員に予想以上のインパクトを与えた」と、その決断理由を語っていた。
その後も2021年以降の活動方針やシリーズ復帰に関して、一切の計画を明らかにしないまま動向が注目されてきたジョーダンだが、今回のWSRのドライバーラインアップ発表で、2021年にBTCCでBMWをドライブする可能性は事実上閉ざされることとなった。
一方、チーム2年目の昨季にBTCC初優勝を達成し、ドライバーズランキング6位を記録した30歳のオリファントは、引き続きターキントンの僚友として「最前線に挑戦するドライバーとしての準備はできている」と、意気込みを語った。