南米大陸を代表するツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルに参戦する元F1ドライバーのネルソン・ピケJr.が、2021年に向けて新たなチーム体制を発表した。マウリシオ・フェレイラ率いるフルタイム・スポーツからエントリーしてきた33号車のトヨタ・カローラは、新たにピケ・スポーツからの参戦となり、世界的潤滑油企業のモチュールがメインスポンサーに就任。そのアナウンスに際し、ピケJr.の父である3度のF1世界王者ネルソン・ピケが初めてストックカーのステアリングを握っている。
2014年SCB王者のルーベンス・バリチェロを筆頭に、同じくF1経験者のリカルド・ゾンタらを擁する参戦2年目のTOYOTA GAZOO Racing・ブラジル陣営だが、2月末にはテキサコ・レーシング・チームのドライバーとして、2004年の北米インディカー・シリーズ王者であり、2013年には世界3大レース『インディ500』を制覇したトニー・カナーンの電撃参戦が決定。シボレー陣営からフェリペ・マッサのフル参戦が決定していることもあり、2021年のSCBは豪華な顔ぶれがグリッドを埋めるシーズンとなる。
そんななか、近年はテキサコ・レーシングから参戦してきたピケJr.の去就が注目されていたが、3月28日にブラジル・サンパウロ郊外に位置するシルクイート・パナメリカーノでラウンチ・エキシビジョンが開催され、かつて欧州でも活動したMX・ピケ・スポーツ・チームからピケJr.のSCB参戦がアナウンスされると同時に、3度のF1チャンピオンによるデモンストレーション走行が実現した。
同イベントではチーム体制も発表され、ピケ・スポーツブランドのブラジルへの復帰は、MOTULを筆頭にヘルスケア企業のPrevent Senior(プリヴェント・シニア)、そして自動車部品を手掛けるAutotrac(オートトラック)からの支援により可能になったという。
2000年代初頭にピケJr.のシングルシーター移行を支援する目的で、偉大な父が創設したピケ・スポーツは、息子とともにイギリスF3でタイトルを獲得したのちGP2へとステップアップ。現在はF2へと発展したカテゴリーで、当時のピケJr.は最終戦までルイス・ハミルトンとのタイトル争いを繰り広げた。