更新日: 2018.02.16 06:56
「ル・マン挑戦は不滅」林教授、学外で新挑戦へ
22日、東海大学ル・マン・プロジェクトの終了が明らかにされ、林義正教授の退任が明らかにされたが、林教授はプレゼンテーションの最後に、「ル・マン挑戦は不滅」として、新たな『L-SHVプロジェクト』がスタートすることを明らかにした。
定年期間延長が終了し、東海大学工学部動力機械工学科を率いル・マン・プロジェクトを進めてきた林教授は東海大総合技術研究所を退職することに。昨年は学生によるル・マン・プロジェクトを成し遂げた功績により、ル・マン24時間を主催するACO(フランス西部自動車クラブ)から表彰されていた。
東海大でのル・マン・プロジェクトの終了とともに、林教授のル・マンへの挑戦も終わるのかと思われていたが、22日、林教授はさらに新しいル・マン・プロジェクトとして『L-SHVプロジェクト』の存在を明らかにした。
この『L-SHVプロジェクト』は、新しい工学教育をこれまでの東海大から広げ、国内外に展開。「真のものづくり」、「実現能力」、「課題突破力」を世界に広げようというもの。
その内容は驚くべきもので、林教授とともにル・マン・プロジェクトにエンジンを供給してきた株式会社YGKと連携。購入した外国製モノコックをベースにクローズドタイプのプロトタイプカーを製作し、林教授が新設計する3.4リッターV6エンジンを搭載。さらに、これまでのハイブリッドシステムとは異なる、『S-HVシステム』を積むハイブリッドプロトを製作するという。
この『S-HVシステム』は、これまでエンジン出力や減速時のエネルギーを回生していたハイブリッドシステムとは異なり、ターボのように排気のエネルギーでタービンを回し、その回生エネルギーで発電。エンジンを回せば常に発電しているためバッテリーが小型で済むことや、これまでロスしていた排気エネルギーを有効に活用できることから、すでに自動車メーカーからも問い合わせがきているという。
しかし林教授は、「自動車のテクノロジーは、多くのものがモータースポーツ、特にル・マンから生まれてきた」とし、この『S-HVシステム』をル・マンで磨き、民生化に繋げていきたいという。
さらにこの『L-SHVプロジェクト』は、「新しい工学教育」とあるとおり、世界から広く学生の力を得て、プロと学生が力を合わせるプロジェクトにしていくという。シャシーデザインには、「デザインについて一日の長がある」イタリアの学生から募集。製作は日本で、YGKがある山形と東京で行うという。
「若いときに経験したものは、絶対に将来の糧になる」と学生を広く募る理由を語る林教授。もちろんこれまで教鞭を執ってきた東海大の学生も募るという。なお、東海大ル・マン・プロジェクトでは、すでにハイブリッドの研究がスタートしていた。
『L-SHVプロジェクト』は2013年にはヨーロッパで実際にレースに参戦、2014年にはル・マン24時間挑戦を目指すという。2012年秋には、その概要を発表するとのことだ。すでにACOともレギュレーションについて検討しており、ACOからも歓迎の意向を受けているという。
活動についての詳細は、YGKのホームページ(http://www.yellowmagic.co.jp/)にアップされていくという。