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ル・マン/WECニュース

投稿日: 2012.06.17 00:00
更新日: 2018.02.16 09:42

アウディ、ハイブリッドでのル・マン初勝利を達成!


 第80回ル・マン24時間耐久レースは17日、24時間におよぶレースのチェッカーフラッグが振られ、1号車アウディR18 e-トロン・クワトロを駆るアンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ/マルセル・ファスラー組が優勝。同クルーでの2連覇を達成するとともに、ハイブリッド車のル・マン初優勝を成し遂げた。

 レース序盤はアウディ勢、トヨタ勢によるハイブリッド車によるトップ争いで大きな盛り上がりをみせた2012年のル・マン。深夜1時38分には7号車トヨタTS030ハイブリッドがリタイアとなり、トヨタ勢が姿を消すと、その後レースは1号車アウディR18 e-トロン・クワトロ、2号車R18 e-トロン・クワトロによるトップ争いに注目が集まった。

 開始から20時間前後には、ほぼノートラブルでレースを進める1号車と、序盤に4分の遅れを喫した2号車の間隔が狭まり、2秒程度の差に。終盤に向けピットインのタイミングごとにトップを入れ替える展開となるが、チェッカーまで3時間少々という12時過ぎ、4番手を走っていた3号車アウディR18ウルトラが、序盤同様ユノディエールの第1シケインでクラッシュ。なんとかピットに帰りつこうと走り出すが、その直後には、2号車がポルシェコーナーでGTEクラスのフェラーリと接触しガードレールにクラッシュしてしまう。

 コース上に破片が散ったためセーフティカーが導入され、その間に2号車はなんとかピットに帰りつく。その直後には、長い距離を帰り着いた3号車もピットに入り、アウディのピットは騒然となった。しかし、ル・マンの絶対的覇者として君臨するアウディは、2号車を8分でリペア。さらに3号車も10分程度でリペアし、新車かのような美しさで再びコースに送り出す。

 3号車のクラッシュにより、形成していたアウディ勢のトップ4独占は崩れ12号車ローラ・トヨタが4番手に進出。また、トップの1号車と2番手の2号車には1周の差がつく。その後アウディ勢はルーティンのピットインを着実にこなし、チェッカーに向けてひた走ることに。終盤にはデイトナ・フィニッシュのために4台のアウディR18が集結。15時のチェッカーに向かった。

 15時、1号車を先頭に2位2号車、3位4号車、そして5位3号車と順位どおりのフォーメーションを組んだ4台のアウディは、その強さを誇示するかのようにチェッカーを受けた。ロッテラー/トレルイエ/ファスラー組にとっては昨年に続く勝利。アウディにとってはル・マン通算11勝目、そして2010年から3連覇となった。

 4位にはレベリオン・レーシングのローラ・トヨタ12号車が入り、6位にはJRMレーシングの22号車HPD ARX-03a・ホンダが入った。総合7位には、LMP2クラス優勝となるビセント・ポトリッツィオ/ライアン・デルジエル/トーマス・キンバー-スミス組スターワークス・モータースポーツのHPD ARX-03bが入った。キンバー-スミスはクラス連覇。LMP2クラスは46号車オレカ・ニッサンが2位、49号車オレカ・ニッサンが3位に入った。13台にエンジンを供給したニッサンエンジンの連覇は達成されなかった。

 LM-GTEプロクラスは、ジャンカルロ・フィジケラ/ジャンマリア・ブルーニ/トニ・バイランダー組AFコルセの51号車フェラーリ458が優勝。水曜日のクラッシュから見事な逆転勝利を飾った。59号車フェラーリ458が2位、97号車アストンマーチン・バンテージが3位と、上位陣は終盤順位が変動することなくフィニッシュを迎えている。LM-GTEアマクラスは、ラルブル・コンペティションのパトリック・ボーンハウザー/ジュリアン・カナル/ペドロ・ラミー組50号車シボレー・コルベットC6-ZR1が優勝を飾った。

 多くのチーム&ドライバー、マシンが参戦した日本勢は、中嶋一貴がドライブした7号車トヨタTS030ハイブリッドは深夜にエンジントラブルでリタイア。8号車トヨタTS030ハイブリッドは5時間過ぎにクラッシュでリタイア。LMP1クラスに地元ペスカローロ・チームから参戦、荒聖治が乗り込んだ童夢S102.5ジャッドは、度重なるトラブルによりストップ。チェッカーを受けるためにコースインし、大声援の中チェッカーを受けたが、周回数が足りずリタイア扱いとなっている。

 LMP2クラスに参戦した日本人ドライバーでは、45号車オレカ・ニッサンを駆った中野信治は総合24位・クラス10位で完走。38号車ザイテック・ニッサンを駆った黒澤治樹はリタイア、29号車ローラ・ニッサンの井原慶子はマシンをドライブできずリタイアとなっている。

 また、環境技術を志向した特別枠“ガレージ#56”から参戦したニッサン-デルタウイングは、本山哲のドライブ中に接触、クラッシュ。こちらもリタイアを喫している。日本人ドライバーで完走したのは中野だけとなった。