更新日: 2018.02.17 00:02
ホンダF1責任者、新井PLに訊く(3)もう撤退しない
物量作戦が通用しないことに関して
――今年からF1の開発は栃木研究所からHRDさくらに移動しましたが、F1に関わっている人数はどれくらいの規模なんでしょうか?
「皆さんが想像しているよりも相当少ないと思います。それは新しいパワーユニットになってからのF1は、今まで我々が経験してきたF1から大きく技術的な進化を遂げていて、かつてのような物量作戦で勝利を勝ち取ることができないからです。だから、開発費も過去とは比べものにならないくらい少ない。開発費というのは人件費のようなものですから。具体的な金額言えないですが、『え、こんなに少ないんですか?』っていう規模です。でも、非常にリーズナブルです。じゃ、どこで差がつくかというと、頭。いかに知恵を絞ることができるかですね」
――人が減った分、モノをたくさん作るとか?
「いやいや、そんなに作りません。新しいレギュレーションはよくできていて、次から次へと新しいモノを作らせないようになっています。よく考えてからモノを作らないと、パワーユニットとしてきちんとまとまらないんです。だから、エンジニアにとって、とてもチャレンジングで面白い。以前はたくさん作って、ベンチで回して、一番良いものを選べば良かったけれど、今はそうはいかない」
――2015年に向けて、もう考えはまとまりましたか?
「まだ完全にはまとまっていないです。スタートが遅かったので、リードタイムが全然足りない。とにかく要素が多すぎて……。実際に研究所のエンジニアたちの間では、16年っていうのが妥当ではないかという声もあったほどです。今は時間との戦いです」