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F1ニュース

投稿日: 2015.11.28 00:00
更新日: 2018.02.17 11:50

ロータス小松礼雄コラム:最終戦に向けて負けられない理由


 ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。
 
 厳しい資金難でレース以外の気苦労、そして物理的な問題に直面しているロータスF1チームと小松エンジニア。日本と真逆のブラジル、サンパウロでの戦いを振り返ります。チャンピオンは決まりましたが、ロータス・チーム、そして小松エンジニアともに最後まで全力で戦わなければならない理由がそれぞれあるのです。

 F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第18回目の一部をお楽しみ下さい。

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小松礼雄コラム 第18回

最終戦に向けて負けられない理由
小松エンジニア&エンストーンの意地

 今回のブラジルGP、フリー走行を見る限り予選でのQ3進出は期待できる流れだと思っていましたが、結果的に2人ともミスでそのチャンスを逃してしまいました。パストール(マルドナド)はQ1でノックアウトされましたが、これは8コーナーと9コーナーでミスしてコンマ3秒ロスしたのが原因です。サンパウロのように1周1分12秒~13秒の短いラップタイムのサーキットでは、わずかなタイム差が致命傷になりますが、コンマ3秒もロスした時点でアウトだなとは思いました。セクター1とセクター3はロマン(グロージャン)より速かったくらいだったので、セクター2のミスが悔やまれます。

 予選Q1は2台ともコースインのタイミングを遅らせて、1回のアタックのみでQ1突破を狙いました。というのも、レースのメインタイヤはプライムだということが分かっていて、レース戦略が2ストップになるか3ストップか、その時点ではハッキリとはしてない状況でした。レースに向けてプライムタイヤをセーブしたかったですし、1アタックでロマンは問題ないと思っていたので、最初からその予定にしていました。

 パストールはロマンよりコンマ3秒くらい遅かったので、まずはプライムで走って、2度にオプションでアタックというプランを考えていたのですが、ミーティングの最後でパストールは何か自信が出てきたのか「僕も最初のランはいらない」と言い出しました。来年はエースドライバーになるわけですので、そのパストールの意向を尊重したのですが、残念ながら失敗してしまいました。さらにQ2のロマンも残念ながらアタックした2回ともミスしてしまいました。ロマンが2回ともミスするというのはかなり珍しいのですが、仕方がないです。

 こんなことがあり予選は15、16番手なりましたので、ここから入賞を狙うためにも、ほとんどのドライバーがオプションタイヤでスタートする中、パストールをプライムタイヤでのスタート、リバース・ストラテジー(逆の戦略)にしました。この戦略はリスクも大きくないし、あとはチームとしてプライムタイヤのインフォメーションを採ることができます。他のチームでプライムを履いているクルマのタイムを見ればおおよその状況はわかるのですが、自分のチームの1台をそのタイヤで走っていれば、より早く正確に状況がわかるので2台の戦略を分けました。


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