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スーパーGTニュース

投稿日: 2015.08.18 00:00
更新日: 2018.02.17 09:43

Studie BMW Z4、SGT富士は他車との接触でリタイア


2015 AUTOBACS SUPER GT Round 4 FUJI GT 300km RACE

富士スピードウェイで確かな手応えをつかむも決勝レース中の接触によりリタイア

8月8-9日|富士スピードウェイ(全長4.563km)
予選Q1:4位通過 Q2:4位
天候:曇り|コース:ドライ|気温/路面温度 Q1開始時27度/34度、Q2開始時26度/32度→Q2終了時25度/31度

決勝 リタイア
天候:晴れ|コース:ドライ|気温/路面温度:スタート前32度/48度→レース途中32度/48度、レース終盤27度/36度

■アクシデントを乗り越えて予選4位を獲得
 長いホームストレートをもつ富士スピードウェイは、BMW Z4にとって不利と言われるサーキット。しかし、BMW Sports Trophy Team Studieが闘えることは、公式練習が始まってすぐにハッキリした。ステアリングを握ったヨルグ・ミューラー選手が2周目に1分39秒977をマーク。これがGT300クラス2番手タイム。その後順位を落とすも、12周目に1分39秒160で再び2番手タイム。富士スピードウェイでの2番手タイムはチームの進化を物語っていた。もちろん、圧倒的な速さでシリーズ戦のバランスを揺るがせていた日産GT-RのBoPが変更されるなど、外的要因も無視できないが…。有利になったというよりは、ようやく公平なレベルになった印象だ。

 その公式練習でアクシデントが発生した。ヨルグ・ミューラー選手が1コーナーで後ろから来たNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTに激しく追突される。コースから飛び出したZ4 GT3はそのまま動けずに停止。チームは公式練習で予定していたセッティングメニューを放棄して、同日午後の予選に向けて修復を急いだ。BMW Z4 GT3はボディ右サイドに激しくダメージを受け、フロントバンバーやサイドパネルなどカーボンファイバー製パーツが破損していた。また、フロントサスペンションはタイロッドやサスペンションアームが曲がっていた。いっぽう、BBSホイールは、これだけ激しく当てられながら変形の跡が見られなかった。

 予選の始まる14時15分目前、メカニックの努力が実って修復を終える。No.31 TOYOTA PRIUS apr GTは同様に修復を済ませて予選に出走できる準備を整えていたもののアクシデントによりペナルティを受けていた。荒 聖治選手はこの日、まったくステアリングを握っていないため、Q1はヨルグ・ミューラー選手が担当した。1周目、1分43秒480。2周目、1分38秒723。そして3周目、1分38秒352。4番手タイムでヨルグ・ミューラー選手はQ2進出を決めた。

 そしてQ2。ぶっつけ本番で荒聖治選手が出る。1周目、1分41秒136。2周目、1分38秒110! そして3周目、1分38秒275。4周目、1分38秒485とコンスタントに38秒台を連発。4番手のタイムを決め、決勝はセカンドローからのスタートポジションを獲得した。ポールポジションはNo.55 ARTA CR-Z GT、2番手はNo.65 LEON SLS、3番手はNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTとなった。ぶっつけ本番でのQ2でなければ、さらに前方からのスタートが狙えただけに無念ではあった。

■戦略通りの展開で優勝を狙うもタイヤがバースト
 決勝。荒聖治選手はスターティングラップではジックリと様子をうかがいながら5番手をキープ。すると3周目には早くも3番手にアップ。カチッとスイッチの入った音がしたように思えた。2番手のNo.65 LEON SLSにプレッシャーをかけ続ける。トップのNo.55 ARTA CR-Z GTを一刻も早く射程距離に入れたい。そういう思いからか、BMW Z4 GT3のフロントバンパーがSLSのリアバンパーに吸い付いているようにさえ見える。しかし、ここ富士スピードウェイで直線スピードに勝るSLSをパッシングすることは至難の技。最終コーナーまで完全に攻略してホームストレートでスリップストリームに入っても、BMW Z4は最高速が抑えられているため1コーナーの入り口まで着いていけないのである。こう着状態が続く。完全にSLSがBMW Z4の前を塞いでしまった展開になり、ますますパッシングのチャンスが失われるばかりではなく、トップを先行するCR-Zとの差がすでに10秒近くになっていた。

 前にNo.65 LEON SLS、後ろにNo.11 GAINER TANAX SLSとNo.0 グッドスマイル初音ミク SLS。3台のSLSとNo.7 Studie BMW Z4がバトルしながら2番手を争っているような展開。しかし、このチームが目指していたのは優勝だけだった。11周目の最終コーナーでついに荒聖治選手が前のSLSをかわした。12周目へのコントロールラインを2番手で通過。ところがNo.65 LEON SLSにスリップストリームに入られて抜き返される。しかも1コーナーの進入でNo.11 GAINER TANAX SLSにパスされてしまう。ここで4番手となるが、荒聖治手は当然引き下がらない。

 14周目、ついにNo.65 LEON SLSを仕留めて3番手に浮上。ようやく前が開けたことで、15周目にはここまでのベストラップを刻む。いっぽう、SLSに蓋をされている間に、このときトップを行くNo.55 ARTA CR-Z GTとの差は17秒にも開いてしまっていた。No.65 LEON SLSの代わりに今度はNo.11 GAINER TANAX SLSに蓋をされてしまっては、さらに開くことになってしまう。

 ここで鈴木康昭チーム代表兼監督が決断。想定していた選択肢の中で、もっとも早いタイミングでのピットインを選ぶ。SLSとのこう着状態を避けてペースアップ。独走体制を築きつつあるNo.55 ARTA CR-Z GTをトップの座から引きずり下ろす作戦だ。

 22周目、ピットイン。素早いドライバーチェンジ。燃料補給。タイヤ交換。ピットタイムは39.4秒。ピットクルーも素晴らしい仕事で応えた。ピットを後にしたアウトラップで一旦17番手に下がる。ここからが追い上げだ。

 そして24周目、1分39秒997…。これは第4戦におけるGT300クラス全体の決勝ベストタイムである。17秒差が開いていた状況を前に、ヨルグ・ミューラー選手は猛追アタックを仕掛けた。なんと、ここから1分40秒台の超速ペースでトップとの差を詰めていく。1分40秒253、1分40秒020、1分40秒409、1分40秒522…。速い!

 32周目、No.7 Studie BMW Z4は早くも7番手に浮上。わずか10周足らずでNo.55 ARTA CR-Z GTとの差を約9秒にまで圧縮。ヨルグ・ミューラー選手の走りからは、勝つという明確な意図がうかがえた、そのとき…。全力の追い上げをみせるNo.7 Studie BMW Z4のタイヤがバーストしてしまう。スピンしてコースアウト。トレッドが飛び散り、ホイールだけで走行。再びピットインして4輪のタイヤを交換する。

 再び追い上げたに転じたものの、不運にもGT500のマシンにパッシングされるタイミングで、周回遅れだった他のGT300のマシンに接触。マシンに異常を感じたヨルグ・ミューラー選手は3度目のピットイン。タイヤを外すとタイロッドが曲がっているのを確認。第4戦はリタイアとなった。

 第3戦までは、どのように闘ったとしても3位が限界…。そんな手詰まり感があったことは否定できない。ところが第4戦では、実力で優勝を掴めることがハッキリした。2015年も闘える、いまチームは確実に前を、上を向いている。

[関連サイト]
◯チーム公式サイト http://www.teamstudie.jp/2015/
◯Facebookファンページ http://www.facebook.com/bmwsportstrophyteamstudie
◯Twitterアカウント @teamstudie
◯BMW M HEAT http://bmw-m-heat.jp