ERCヨーロッパ・ラリー選手権の第4戦は風光明媚な地中海を望む島国キプロスが舞台。6月16~18日に行われたこのラフグラベル戦を、中東の英雄と呼ばれるオールラウンド・ラリードライバー、ナッサー・アル-アティヤ(フォード・フィエスタR5)が制し、前戦のリベンジを果たすERC今季初勝利を挙げた。
厳しいグラベル・イベントとして名を馳せるキプロスのステージは、初日から波乱が続出。シリーズのフロントランナーたちが続々とステージの罠にはまるなか、前戦をトラブルで落としていたアル-アティヤは、デイ1の全8SSを堅実に走破。
キプロス北部に設定され、国連バッファゾーンに位置する4.15kmの最終SS8『CNPアスファルティカ・スーパースペシャル』でも、彼のオートテック・モータースポーツ・フォード・フィエスタR5はトップタイムをマークし、計5つのSSでベストを刻み初日首位に立った。
2度の王座獲得経験を持つPWRCプロダクションカー世界ラリー選手権クラスや、中東ラリー選手権などで同イベントを4度制し、キプロス勝利数であのセバスチャン・ローブに並んでいたアル-アティヤは、その記録更新にも王手をかけた。
「実は14.41kmのSS7で、スタートから4km地点のところでパンクに見舞われた。でも、ペースを抑えてそれをマネジメントすれば、このステージに勝てると(コドライバーの)マシュー(・ボーメル)に言ったんだ」と、初日ニコシアのサービスパーク帰還後に振り返ったアル-アティヤ。
「今日のライバルたちの状況を見ても分かる通り、これは本当に難しくて厳しいラリーだから、最後までリスクを排除して堅実に戦う必要があるんだ」
そのアル-アティヤの言葉どおり、SS1でトップタイムをマークしたのは前戦同様ロシアのスピードスター、アレクセイ・グリアシン(シュコダ・ファビアR5)。
そのアクロポリスでは、トップタイム記録直後の爆発炎上でチャンスを失ったこのティーンエイジャーは、このキプロスではキャンセルとなったSS2に続くSS3でディッチに捕まりハードなコースオフ。マシンは数回転したのちコース上にランディングしたものの、このアクシデントでラリーリーダーの座を明け渡すこととなってしまう。