戦闘力が高いクルマができあがったとしても、その供給体制やサポート体制がきちんと整備されていなければ、ロングタームでカスタマーを惹きつけることは難しい。かつてグループNの時代に、ミツビシは各国のラリーアート・ブランドを活用してサポートやパーツの供給を円滑に行なった。そのため、カスタマーは安心してランサーエボリューションでラリーに出ることができていた。

 一方、ライバルであるスバルは、インプレッサWRX STIのサポート体制が初期は充分ではなかったため、なかなかカスタマーを増やすことができなかった。しかし、人員を含めカスタマー部門を強化していったところ、シェアが急速に高まっていったという歴史がある。

 現在のラリー2においては、もっとも長い歴史を誇るシュコダとMスポーツのサポート体制が充実しており、パーツも比較的スムーズに手に入る。いくらクルマ自体のパフォーマンスが高くとも、パーツの入手に時間がかかったり、サポートが手厚くなければカスタマーはやがて離れていく。GRヤリス・ラリー2がホモロゲーションを取得してカスタマーたちの手に渡るまでにはまだ時間がありそうだが、フィンランドのTGR-Eはクルマの開発だけでなく、サポート体制についてもしっかり準備を進めていく必要がある。

 ワークスチームという身内で完結する活動ではなく、プライベーター相手のビジネスは、市販車を開発して一般の人々に販売することにきわめて近い。マニュファクチャラーではなく、自動車ディーラー的な対応が求められるという点で、トヨタにとっては新たなる挑戦となるだろう。

 また、何かしらの事情で経営や経済環境が変わり、モータースポーツ活動を縮小しなければならなくなった時、ワークスチームならば区切りをつけやすいが、カスタマー活動はそうはいかない。数年間はサポートを続けなくてはならず、だからこそラリー2への参入は、トヨタが今後しばらくラリーにコミットし続けるという強い決意の証であると、冒頭で記したのである。

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生は現在、ルノー・クリオ・ラリー4で経験を積んでいる
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ラリージャパン2022のオカザキSSSにおいて、デモランを披露したトヨタGRヤリス・ラリー2コンセプト
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