レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.01.03 10:45

“原点”デイトナビーチでビールを1杯! ケネディ宇宙センターにも潜入【トミー小笹の米国メカニック通信:10】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | “原点”デイトナビーチでビールを1杯! ケネディ宇宙センターにも潜入【トミー小笹の米国メカニック通信:10】

 F1をはじめ、世界のさまざまなモータースポーツシーンで、日本人が活躍している昨今。北米を舞台に戦われるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のトップカテゴリーでも、ひとりの日本人メカニックが奮闘しています。

 このコラムでは、BMWのワークスチームで働くベテランメカ・小笹氏の目線で、レースの裏側やアメリカでの生活、異国で働くことの醍醐味などを、硬軟ごたまぜに、ユルユルと紹介していきます。

 第10回を迎えた今回は、12月に行われたデイトナでのテスト、そしてその際の“フロリダ観光”の様子をお届けします。

■20歳の女性メカニックが加入

 日本のモータースポーツファンの皆さんこんにちは、メカニックのトミー小笹です。以前はトムス、ニスモなど日本のチームでメカニックをしていましたが、昨年からアメリカで働いていまして、今年からはIMSAのGTPクラスに参戦するBMW Mチーム RLLで、BMW Mハイブリッド V8を担当しています。過去、2003年はメカニックとしてNASCARカップ・シリーズに参戦した経験もあります。

 さて、シーズン終了から約2カ月が経った12月上旬、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでIMSAの公式テストが行われました。年明け1月にはデイトナ24時間で開幕を迎えるIMSAということで、来シーズンに向けてとても重要なテストとなります。

 我らがRLLは、他のレースとのバッティングもあってレギュラードライバーは2名のみの参加でしたが、2台で大きなトラブルもなく、テストを終えました(25号車は軽いクラッシュはありましたけど……)。

 新型車両導入から1年ということで、どのチームもハイブリッド関連のトラブルは出なくなってきたみたいですね。

 これ、ガレージエリアからピットレーンへと移動するときの様子なのですが、アクション・エクスプレス・レーシングとペンスキーは、時間前から先頭で並んでいるんですよね。それが速さに直結するというわけではありませんが、以前のコラムでも触れたように、この2チームはこういう細かいところまでキッチリした、日本に似た感じの雰囲気のチームですね。

 今回はペンスキーが隣のピットだったので気にしながら見てましたけど、1台はセットアップ、1台はロングランとメニューをしっかり分けていたようでした。初登場のランボルギーニSC63も速かったですよ。

 自分の仕事としては、若いスタッフが入ってきたので、いろいろと教えなきゃいけないのが、最近は大変ですかね。どうしても英語だと細かいニュアンスまで伝えられなかったりしますから。そうそう、新しいメカのうち、ひとりはハタチの女の子なのですが、若い独身男性連中がなんだか浮き足立ってますよ(笑)。

 シーズンオフはやっぱり人の入れ替わりが多いですね。そこは日本とは違うところです。少しでも良い条件のところに、みんな積極的に転職していきます。基本はインディアナポリスの中での話なので、引っ越さなくてもいいですしね。

 以前に紹介したドラッグレースも、(インディアナポリス近郊の)ブラウンズバーグというところが中心地なので、ドラッグの世界からサーキットレースのチームに転職してくる人もいますよ。

■デイトナビーチでNASCARの『原点』に触れる

 さて、仕事の話はこれくらいにして、デイトナテストのときの“観光”の様子を、ふたつほど紹介しましょう。まずはデイトナビーチまで、歩いて行ってみました。ホテルから往復3時間、結構疲れました(笑)。

 道中にはカジュアルなガンショップがあるのも、フロリダならでは、でしょうか。ちょっと中を覗いてみたのですが、護身用の小さなものなら499ドルとかで買えるみたいです。ちょうど自分が店内にいたときにも、普通に買って行ったお客さんがいて、アメリカの銃社会を実感しましたね。

 こちらがビーチの入口です。『世界で一番有名なビーチ』とありますが、こちらの人たちは何でも“世界一”にしないと気が済まない性分のようです(苦笑)。デイトナのスピードウェイにも『World Center of Racing』って掲げられてますしねぇ。

 天気はちょっとイマイチですが、どこまでも続く長〜いビーチ。泳いでる人もいましたね。

 デイトナビーチといえば、アメリカのストックカーレース発祥の地。このビーチで1936年に行われたレースが、いまのNASCARの原点になります。というわけで、それを記念したモニュメントもビーチ沿いに並んでいます。

『オーシャン・デッキ』という有名なレストランで、ビールを一杯失礼します! デイトナは12月でも日中はTシャツ+短パンというコンディション。ビーチを眺めながらのビール、最高でした。

■ケネディ宇宙センターで“火星ミッション”

 もうひとつ観光したのは、ケネディ宇宙センターです。こちらはチームのみんなで、ツアーに参加しました。

 火星探査に関する“体験型ツアー”となっていまして、火星に関するさまざまなことをお勉強する、という内容のものでした。

 火星の基地に設置される発電用のソーラーパネルの砂埃を掃除する作業とか、発電した電力を1カ月にどう割り振れば人間が暮らしていけるのか、事故が起きたときにどうやって救助するかのシミュレーションなどを、実際に手を動かしつつ学んでいくわけですが……6時間はちょっと長かったかな(笑)。

 こちらは、今回は入れなかったところ。サターンロケットとか、スペースシャトルが見えてますね。正直、こっちの方が楽しそうだったなぁ……。

 さて、最後に最近のRLLのファクトリーの様子を。インディアナポリスのミュージアムが2025年のリニューアルに向けて閉鎖されているのですが、その間、1986年のインディ500優勝車両がファクトリーのショールームに帰ってきました。このマシンのドライバーはもちろん我がボス、ボビー・レイホールです。現在のクルマと並べている形ですね。

 そして日本に帰国する日に、仲がいい連中と送別会がてらディナーを楽しみました。最後なので自分のお気に入りの店を選ばせてもらって、ハイカロリーなハンバーガーを堪能しましたよ!

 というわけで、現在は日本に戻って年末年始を過ごしていますが、年明けにはまた、デイトナ24時間のためフロリダに向かいます。その後のことは、次のコラムで報告します!


関連のニュース