■襲いかかるトラブルも、異変に素早い対応

 もともとLCはGT3カーとGT4カーの中間くらいのスピードをもつクルマだったが、松井孝允がステアリングを握ったスタート直後、GT4カーと競り合いながら周回を重ねる。しかし、そのなかでエキゾーストを破損。さらに蒲生尚弥に交代した後、ブレーキにトラブルを抱えてしまう。蒲生はすぐにトラブルに気付き、長いノルドシュライフェに入る前にピットにマシンを戻すことができた。

 さらに、今度は3速を失うミッショントラブルで2時間ほどの作業を要してしまう。このときドライブしていたのは松井だが、その前にドライブしていた中山雄一から伝え聞いていた違和感をもとに、すぐにピットへ戻すことができたのだという。

「すごく良い経験をさせてもらいました。その一言に尽きますね」と松井は言う。

「スタートの混乱もありましたが、メカニックの方にクルマを直していただいたり、大事に至る前にトラブルに気付いてミッション交換ができました。蒲生選手も北コースに入る前にブレーキの異変に気付いたりしたので、みんなが異変に早く気付いたことで、チェッカーを受けられたのだと思います」

 夜に入ってからは、今度は雨が降り出す。このレクサスLCにとって、これまでウエットレースの経験はない。ドライバーのスケジュールを決めていた土屋武士は、リスクを避けるため初めてのニュルとなる中山に、夜の雨を回避させた。

 さらに、今度は雨が予想外のトラブルを生じさせる。「雨でエアクリーナーが水を吸い、それがエアロセンサーを壊してしまった。濡れたことで慣性で吸われてしまったみたい。今まで水しぶきがあるウエットを走ったことがなかったから」」と土屋。

 ただ、こちらも無事に交換し、それ以降はトラブルなくフィニッシュへ。レース後、チェッカーを受けた喜びに沸くテントには、このマシンに携わったチームメンバー、そして関連企業のスタッフと、驚くほどの人数が集まっていた。改めてこのクルマは、将来の市販車に向けた“実験車”なのだと感じさせた。

 レース後、初めてのニュルブルクリンク24時間参戦となった中山雄一に感想を聞くと、「ドライバーとして、走るのはすごく大変でした。クルマもトラブルが多かったですが、大変な思いをしたことが良かったと思います。みんながクルマを直してくれて、明け方からはノントラブルでしたし、ここで頑張らせてもらえたことが嬉しかったです」と貴重な経験を積むことができたようだ。

 また、蒲生は「疲れました(笑)。僕が乗っているときにいろいろトラブルもありましたし、僕たちのクルマにとっては天候も合っていなかったです。でも、本当に無事にフィニッシュすることができて良かったです」とホッとした表情をみせている。

TOYOTA GAZOO Racingの56号車レクサスLC
TOYOTA GAZOO Racingの56号車レクサスLC
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