■トヨタのクルマづくりに繋がる経験に
そして、4人のドライバーのまとめ役として、またクルマ作りを担う立場として参戦した土屋は、こう今年のレースを総括してくれた。
「ありとあらゆるトラブルが出た。でもそれには必ず原因があるので、それを追求して解決するという意味では、いろんなことが起きて良かったです。それに雨を初めて走れて素性も見れた」と土屋。
「レースという部分では、もちろん応援してくれる人の期待はできるだけ上位で……というのはあったと思うし、ノントラブルで集中して、どこまでいけるかも楽しみだったので、そこに対しては残念な気持ちはもちろんある」
「でもいちばんのプライオリティは、人を鍛え、クルマを鍛え成長するプロジェクト。スーパーGTでも言っているとおり、人は失敗や悔しいものから得るものの方が圧倒的に大きいですから」
「そういう意味で、言い方は難しいけど『楽しかったな』と思います。このレクサスLCの1年目としては最高のシチュエーションだった。1年目のスタッフも4人いるし、サーキットが初めてというスタッフもいる。これは絶対に未来に繋がるし、いろんな経験ができたのではないでしょうか」
「あとは個人的な部分で言えば、“引退”した僕にまたこんな素晴らしい経験をさせてもらえるなんて、本当にありがとうございますという気持ちですね。クルマ作りができる、ニュルを走れるなんてそうそうない経験ですから」
レース後、GRカンパニーの友山茂樹プレジデントは、「ここニュルブルクリンクで得られた知見や、鍛えた技術は、GRブランドの各モデルに採用されていくばかりでなく、今後トヨタ自動車が投入する市販車の数々に、必ずや活かしていきます」と語った。
「トヨタの『もっといいクルマづくり』と、それを支える『人づくり』に終わりはありません。そのためにも、これからもニュルへの挑戦を続けていきます」
激しいトップ争いを展開したドイツ車の戦いの一方で、別のスタンスの戦いを展開したTOYOTA GAZOO Racing。その挑戦は、これからも続いていきそうだ。
