アメリカ・カリフォルニア州アーバインに本拠を置くスポーツカーメーカー、サリーン・オートモーティブがFIA-GT4カーのコンセプトモデルとなる『S1 GT4コンセプト』をラスベガスで世界初披露した。
元レーシングドライバーのスティーブ・サリーンが設立したサリーンは、フォード車のチューナーとしてスタート。その後、同社はスポーツカーメーカー、レーシングコンストラクターとして成功を収め、2000年代にはミッドシップスポーツカー『S7』をベースに開発されたサリーンS7-Rが、ル・マン24時間レースなどのスポーツカーシリーズで活躍した。
そんなサリーンは10月17日、2020年のレースデビューに先立ってラスベガスのベラージホテル&カジノで新型GT4カーのコンセプトモデルをお披露目した。S1 GT4の“コンセプト”となる同モデルは、2019年に登場したS1カップカーがベースになっており、最大450馬力を発生させる2.2リットル4気筒ターボエンジンをミッドシップに収めている。
カップカーからの主な変更点はフロントスプリッターやフェンダーなどのエアロダイナミクスで、このほかGT4規定に準拠したリヤウイング、「先進の」リヤディフューザーが最適化されている。また、ABSアンチロック・ブレーキ・システムもGT4向けに更新されているという。
「我々はトラックで充分にパフォーマンスを発揮し、レーシングアプリケーションに簡単に適応できるようにサリーン1を開発した」と語るのは、サリーン・オートモーティブのCEO兼創業者のスティーブ・サリーン。
「我社はレースのDNAに基づいて設立されており、トラックは私たちの評判を証明する場所だ。SROモータースポーツ・グループとの認証プロセスが完了し、このクルマが世界中のGT4イベントで競うのを楽しみにしているんだ」
サリーンのモータースポーツ担当ディレクターを務めるガブリエル・カドリンガーによると、S1 GT4の開発では今年始めに発売されたシングルメイクレーサーの経験から多くの要素が採り入れられているという。
「サリーンカップ最初のシーズン中に、テストセッションでみられたラップタイムは、トラックの種類に関係なく、すでにGT4カーのトップタイムと競るものだった」と語ったカドリンガー。
「サリーン1の性能は我々の期待を高い次元で超えており、来年のGT4レースでこのクルマが非常に高い競争力を発揮することに期待している」
現在、SROによる公認を待っている状態のサリーン1 GT4は、2020年のピレリGT4アメリカでのレースデビューに先立ち、今年11月からカリフォルニア州コロナのファクトリーで製造されていく予定だ。
車両価格は22万5000ドル(約2440万円)で、FIA-GT4カーのなかではもっとも価格競争力のあるオプションのひとつになる。