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投稿日: 2023.12.03 13:43
更新日: 2023.12.03 19:32

“夢”が叶った瞬間。F1初ドライブを果たした野尻智紀「感覚がスーパーフォーミュラと近かった」

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スーパーフォーミュラ | “夢”が叶った瞬間。F1初ドライブを果たした野尻智紀「感覚がスーパーフォーミュラと近かった」

 12月3日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開幕したホンダレーシングサンクスデー2023。早朝から多くのファンで賑わうなか、野尻智紀が2021年のF1チャンピオンマシンであるRB16Bをドライブするというスペシャルセッションが設けられた。

 2021年と2022年に全日本スーパーフォーミュラ選手権でシリーズチャンピオンに輝いた野尻。2023年は第4戦オートポリスで肺気胸の診断を受けたために欠場した影響もあり、ドライバーズランキング3位でシーズンを終えたものの、ポールポジション4回、優勝3回と安定した走りをみせた。

 スーパーフォーミュラでは絶対王者と言われるほどの強さを誇る野尻だが、今回はサプライズでRB16Bをドライブ。8時55分より行われた『Red Bull Racing Honda RB16B×TEAM MUGEN SF23 Special Collaboration』と題したイベントにて、岩佐歩夢が駆るTEAM MUGENのスーパーフォーミュラ15号車とともにデモ走行を披露した。

デモランへ向けてマシンに乗り込んだ野尻智紀
デモランへ向けてマシンに乗り込んだ野尻智紀

 今回のデモランは、3コーナー手前からビクトリコーナーへショートカットする西コース部分のみを使用しての走行となったが、降りてすぐの野尻は初めて乗ったF1マシンのパフォーマンスに感心した様子だった。

「みんなが言っている通り、パワーはすごいなと思いました。スーパーフォーミュラも最初の加速感はすごくありますけど、F1の場合はずっと加速し続けている感じがあるので、加速Gで体が押さえつけられるような感覚が特徴的だと感じました」と野尻。西コースを4~5周しただけでも、得られたものは大きくスーパーフォーミュラとの共通点なども確認できたという。

「走っているときはいつも、『この辺でブレーキを踏んで減速をしていく』というリズムみたいなものがあるのですが、それがスーパーフォーミュラと近い感覚だなと思いました。1コーナーも、『この辺でブレーキを踏めば何とかなる』という感覚がスーパーフォーミュラと近かったので、そのあたりは慣れやすかったです」

「リアム(・ローソン)も言っていましたが、スーパーフォーミュラがF1へステップアップするのに最適なカテゴリーなのではないかなというのを、僕も感じました。もっとみんなが“スーパーフォーミュラの価値”を理解しても良いのかなと思います」

デモランを終えてレッドブルRB16Bを降りる野尻智紀
デモランを終えてレッドブルRB16Bを降りる野尻智紀

 このF1ドライブに向けて、事前にレッドブル・レーシング側と交渉・調整が行われてきたなかで今回実現に至ったとのこと。レーシングスーツも今回のために専用で仕立てられ、野尻も笑みがこぼれていた。

 現在はスーパーフォーミュラでトップを競うドライバーである野尻だが、彼もF1への想いは以前から持っていたひとり。今回はデモランではあるものの、彼の夢が叶った瞬間だった。

「34歳になって、育成にも携わっている立場になると、こうして『自分でチャンスを掴んで良いものか?』と思ったりするところもあります。だけど、ファンの皆さんはもちろん、関係者の皆さんもすごく喜んでくれましたし、『なんとかこの機会を作ろう』と思って動いてくれた人もたくさんいます」と野尻。

「もちろんF1に乗ったこともすごく嬉しかったですけど、それと同じくらい周りの人たちの反応とか、ここに来るまでに動いてくれた皆さんの努力や取り組みが、僕にとってはもうひとつの“嬉しかったこと”ですね」

 チームスタッフともリハーサル日の前日に初めて会うという状況だったそうだが、「チームの皆さんは温かく迎えてくれました。話もしやすかったですし、本当は彼らともっとコミュニケーションをとって、彼らと多くの時間を過ごしたいなと思ったのですけど、なかなかそうは行かないですからね」と野尻。

「これからも直向きに頑張ってきたところもありましたし、自分がやってきたことも色んな人に支えられて出来たこともあります。まずは、しっかりと新たなチャンスとか、自分がやるべきことを国内で探しながら、また次のチャンスを探したいし、掴みたいですね」と、わずかではあるがF1に携われた喜びを噛み締めつつ、また次に向かって進むべく、気合いが入っている様子だった。

走行を終えた野尻智紀とオラクル・レッドブル・レーシングのスタッフたち
走行を終えた野尻智紀とオラクル・レッドブル・レーシングのスタッフたち


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