こう語る杉崎エンジニアはもともとニスモの社員として自動車業界へ。設計や開発に携わった後、レースの現場へ出てトラックエンジニアを務めるようになった。

 ニスモを退社したあとはフリーのエンジニアとしてスーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍している。

「今いるエンジニアはほとんどメカニック出身で、若いころからメカニックとして経験を積んで、ある程度のキャリアになるとエンジニアへという流れが僕の時代(では一般的)でした。メカニックあがりじゃないエンジニアは当時、僕くらいしかいなかった」と杉崎エンジニア。

「今は新卒でメカニックを経験せずにエンジニア、という人も増えました。ヨーロッパはそういうスタイルなんです。ヨーロッパは大学で機械工学の博士号を取るような、そういうスペシャリストがエンジニアになる。メカニックはメカニックとしてのプライドがあり、年を取っておじいちゃんになってもメカニックなんですよ」

 エンジニアを志して自動車業界へ入り、その後もフリーランスとして数多くのレーシングチームを支えてきた杉崎エンジニア。そんな彼が語るエンジニアに必要なスキルは、“クルマのメカニズムに関する知識”と“コミュニケーション能力”だという。

「タイミングさえ合えば、誰でもエンジニアになることはできると思います。結果を出すか出さないかはその人次第ですし、勉強しなくてもなれるでしょう」

「ただ大変なのは(エンジニアに)なってからですよね。(自動車の)メカニズムに詳しくないといけないし、物理と科学に詳しくないといけないし、人とのコミュニケーションも取らないといけないですし。なってからが重要です」

「学生の方でレースエンジニアになりたいなら、まずクルマの構造を知るために、(クルマを)作るところ、セットアップするところを見て何をいじってるのか、実際それはどういうデータになっているのか、データの見方を勉強した方がいいと思います」

「例えば実際に走っているクルマのダンパーがどう動いているのか、どういう力が働いているのか。実際の動きとデータとして出てくる数字、グラフを見て、ふたつをリンクさせないとイメージができないと思います」

「レースチームを見学させてもらうとか、仕事の一連の流れとか、メカニックに対してエンジニアが何をしているのか、どういうデータを見ているのか、ドライバーとどんな話をしているのか、走行がないときにどんな作業をしているのか、そういったものを見られる機会があればいいですよね」

 スーパーフォーミュラとスーパーGTを掛け持ちし、スケジュールが重なる時は毎週サーキットへ足を運んでいる杉崎エンジニアだが、気になる年収は「普通の会社員と同じくらいですよ。フリーだからって高かったり安かったりはありません」とのこと。

「ただ、やはりチャンピンを獲ったり、優勝している人(エンジニア)には付加価値が付くので、他チームに奪われないよう競争が生まれ(報酬も)高くなると思います。エンジニアとしても、より強いチームで報酬もよければ、そっちのほうがいいですからね」

山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と杉崎公俊エンジニア
山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と杉崎公俊エンジニア

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 杉崎エンジニアの語る「自分で計算して準備して形にしたものが、思ったとおりに動いてくれて、なおかつそれが速かった時」のよろこびは、レースエンジニアにしか味わえない喜びだろう。

 今後サーキットなどに足を運ばれた時は、ドライバーと密にコミュニケーションを取って戦うトラックエンジニアにも注目してほしい。

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