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投稿日: 2022.04.23 20:40
更新日: 2022.04.23 20:42

山本尚貴、坪井翔が手にした復調の兆し「洗い出しができた」KCMGも前進見せる【第3戦予選あと読み】

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スーパーフォーミュラ | 山本尚貴、坪井翔が手にした復調の兆し「洗い出しができた」KCMGも前進見せる【第3戦予選あと読み】

 鈴鹿サーキットで行われた2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦公式予選。野尻智紀(TEAM MUGEN)が第2戦富士に続いて、2戦連続でポールポジションを奪い、“王者の速さ”が随所で目立った1日となったが、後方ではそんなトップ野尻を追うべく“復調の兆し”をみせているドライバーも多数いた。

■「やりたい方向性が見つかった」山本尚貴

 まずは2021年シーズン大苦戦を強いられた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)。2週間前の第1戦・第2戦富士では両レースともQ1敗退となり、決勝でもポイントを獲得できず、厳しいシーズンスタートとなった。しかし、この第3戦鈴鹿では予選Q1のAグループで4番手タイムを記録、2021年第6戦もてぎ以来となるQ1突破を果たした。

 Q2でも上位進出が期待されたが、シングルポジションを得られるまでのタイムを伸ばすことができず10番手で公式予選を終えた。これまで3度シリーズチャンピオンに輝いていることを考えると、決して諸手を挙げて喜べる結果ではないが、予選後のメディアミックスゾーンに現れた山本は、満面の笑みをみせていた。

「だいぶ良くなりました。感度も出始めましたし、今まではぜんぜんダメなところで走りすぎていたなという感じたので……かなり兆しがみえた予選だったと思います」

 山本は3月に鈴鹿で行われた公式テストでもセッショントップタイムを記録するなど、好調な走りをみせていたが、そのときのフィーリングが、ひとつの指標になった模様。とはいえ、Q2に向けた部分では、コンディションの合わせ込みが足りず、上位には食い込めなかった。

「朝は(理想に対して)程遠くてぜんぜんダメだったのですが、予選に関してはかなり理想に近づいた感じがありました」

「あとはQ1からQ2に向けて、どういうふうにグリップが増えてタイムが上がるのか分からず、逆にぜんぜんダメになってしまうのも嫌だったので、ちょっとだけ微調整をした程度で、比較的そのままで行きました。そうしたら、コンディションに対しての追い込みが足りなかった、という感じです。反省点はあるものの、やりたい方向性が見つかったことは、かなり良かったのかなと思います」

「2021年シーズンの1年間や今年の第1戦・第2戦富士と比べると、順位以上に惜しいところまで来た感じはあります。ここから踏み外さないように、きちんと組み立てて、レベルアップを果たしていけば、かなり良いところに近づくのかなと思います」

 日曜日の決勝レースはウエットコンディションとなるのでは、との予想もあるなか、山本としては雨を味方につけたいと考えている。

「中段のグリッドなので一番嫌な場所ではありますけど、逆に荒れてくれたほうが、前に行きやすいので、そういう要素を味方につけたいなと思います」

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)

■Q1→Q2に課題ありの坪井翔

 同じく開幕前の公式テストでは好調な走りをみせていた坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)。第1戦・第2戦富士では、第1戦での8位が最高位で上位争いに加わることができず、落胆の大きな週末となってしまった。ただ、そこでの反省点を踏まえ、今大会はしっかりとアジャストして臨むことができたようだ。

「開幕前のテストがすごい好調だったので、今年は正直戦えると思っていました。その感じを受けての富士での2戦でしたね」

「富士では開幕前のテストとレースウイークとで感じ方がぜんぜん違ったので、気温や路温が暖かくなったことで合わせきれていなかったと思いました。ですが、今回の予選に関してはその辺をアジャストしながら、テストの際のフィーリングを掴みつつありました。朝の公式練習も悪くなかったですし、Q1も悪くなかったので『これはけっこう良いのではないかな』とは思っていました」

 坪井はQ1のAグループで2番手タイムを記録しQ2に向かったのだが、ここからは別の課題に直面することとなり、予選後は悔しい表情をみせていた。

「Q2の結果については……。僕はそんなに変なアタックはしていなかったのですけど、周りがそれ以上に上げてきたので、そこが少しショックでした。2021年シーズンもそうでしたが、僕たちにとってはそこが課題で、Q1からQ2にかけて0.5秒くらいタイムが上がらないと勝負にならないです」

「とはいえ、今までと比べると底上げはできています。2021年は10番手以内に入るのが無理な状況でしたが、調子を取り戻しつつあるので、やっとベースラインにきたなと。ここから、もう1ステップ上に行けるように頑張りたいと思います」

 明日の決勝に向けて坪井は、どういったコンディションになっても、表彰台争いをしたいと力強く語る。

「どっちにしても、そろそろ表彰台争いがしたいです。7番手からであれば、調子がよければドライでもウエットでもチャンスはあるのと思います。しっかりと順位を上げてゴールしたいです」

■KCMG、2台そろってQ2進出。小林可夢偉も手応え感じる

 そして、この予選で復調の兆しを示したのがKCMGの2台だ。予選Q1では国本雄資がAグループで3番手タイムを記録すると、続くQ2でも好アタックを決め、5番手につけた。

 ただQ1でピットアウトの際に、まさにタイムアタックを始めた笹原右京(TEAM MUGEN)と1コーナーで交錯していまい、結果的に国本がアタックを妨害したとして、3グリッド降格のペナルティを受けることに。

 この件で、予選後コントロールタワーに呼び出しを受けた国本は、メディアミックスゾーンの時間に間に合わず、話を聞くことがかなわなかった。だが、僚友の小林可夢偉は自身もQ2進出を果たし、チーム全体で改善できている部分があると、好感触を得ていた。

「僕はQ2で0.5秒くらいロスしてしまったので、それがなかったら(国本)雄資と同じくらいのところまでいっていました。2台とも良かったので、(全体的に)良くはなっているのだと思います」

「僕たちは鈴鹿との相性がすごく良いというわけでなく、まだほか(のコース)の方が良いかと思います。ダメなところの洗い出しがしっかりとできて、良くなってきているのかなと」

それでも、トップと比べると差を感じている様子の可夢偉。まだ改善の余地は残っていると語る。

「(今後に向けては)ポジティブだとは思います。ただ、まだまだやらないといけない。上位にいるチームのドライバーは、気持ちよく走れていると思うけど、僕たちはまだ気持ちよく走れてはなく、帳尻を合わせたような感じになっています。そこはもう少しやっていかないといけないところですね」

 明日の決勝では国本が8番手、可夢偉が11番手からスタートを迎えるKCMG。好調を覗かせる流れが続けば、もしかすると上位陣を脅かす伏兵的存在となるかもしれない。

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 国本雄資(KCMG)
2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 国本雄資(KCMG)


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