パワー競争の激化で燃費に対する要求もかなり厳しくなっている。コンマ1秒を削りながらも、燃費を稼ぐ運転を次生がこなしたことがプラス1周を生んだのかもしれない。「ドライバーにはいろんなガマンをしてもらっています」と中島エンジニア。
23号車と2位となった39号車のラップタイム推移を比べると第1スティントでは39号車が勝り、第2スティントでイーブン、第3スティントでは23号車が勝っていた。それぞれタイヤ選択は3スティントとも同じ。
路面温度の変化(スタートからゴールで約9度低下)と、ラバーグリップが周回数に比例して路面に載っていくという違いがあるだけで第1スティントと第3スティントはドライバーの組み合わせも同じ。ラバーグリップが少ない状況下で23号車が履くミシュランはグリップが発揮できない傾向があるという。
「今の競争のなかで高負荷の状況ではミシュランが強いとか、それぞれのタイヤメーカーでこんなキャラクターがあるという見方が通用しない状況に入っていて、毎戦毎戦、優位性が入れ替わる可能性があると思っています」とミシュランの小田島広明氏。
わずかなコンディション変化とタイヤ特性が勝敗を分けること自体が18シーズンのGT500クラス3車種の差がなくなっていることを証明しているだろう。「今日の結果からするとホンダは、MRのNSXが得意なところにフォーカスして開発してきている。レクサスとウチは富士での2戦を考えたクルマづくりをしている」と開幕2戦の状況を総括するのは田中利明ニッサン総監督。
開幕戦優勝の17号車ケーヒンNSX-GTは周回遅れ。僅差となっているだけにウエイトハンデの影響も昨年より大きく出る状況となっている。
結果的にはパレードラップとフォーメーションラップ、レース前2周でのロニーの奮闘が活路を開いた。もしも3番手のまま1コーナーに入っていたら、ラバーが載るまでのペースからしても後続に抜かれた可能性は高い。
第3スティントもトップを追う展開だったら、持っていたペースを充分に生かせなかったはずだ。ふたりのドライバーが1周1周に集中しなければ勝利は呼び込めない。開発競争が激化した先で、ドライバーの重要性が高まるのは観戦側にとっても歓迎すべき事態だ。
autosport 2018年 5/25号 No.1481