D’station Racing 2018鈴鹿10時間 レースレポート
77
D’station Porsche
Satoshi Hoshino / Tsubasa Kondo / Jono Lester
Practice − Race
星野敏/近藤翼/ジョノ・レスター組77号車D’station Porscheは、PRO−AMクラスからの参戦ということもあり、7号車とは異なるアプローチでこの鈴鹿10時間に挑んでいた。2018年モデルのポルシェ911 GT3 Rはフロントのダウンフォースが強力になった分、やや動きが敏感な部分がある。それを和らげ、直線スピードを稼ぐべく、規定で認められている2017年モデルのフロントパーツを使用したのだ。
7号車同様、8月23日(木)の特別スポーツ走行1から積極的に走行を開始した77号車は、近藤が序盤、風雨が強くないうちに2分13秒417を記録。総合6番手/PRO−AMクラス2番手でセッションを終える。星野も10周、レスターも5周をこなし、まずはD’station Porscheでの初ドライブを果たした。ただ、7号車とは逆にアンダーステアの症状が出ていた。
翌日、8月24日(金)は特別スポーツ走行2、さらに2回のフリープラクティスが行われたが、77号車は前日のアンダーステアを、7号車のデータ等を参考に解消。特別スポーツ走行2では、近藤が2分05秒561というタイムをマーク。プロ−アマクラス8番手につけ、さらにフリープラクティス1では2分04秒677というタイムをマーク。プロ−アマクラス5番手につける。さらに、夜間の走行では当初夜のドライブ予定はなかった星野が規定で義務づけられた周回をこなすと、近藤、レスターが周回を重ねることに。特に夜に速いのがレスター。第3ドライバーとして信頼に応えた。
8月25日(土)は、酷暑の中で予選が行われた。77号車は、Q1で星野、近藤、レスターとそれぞれアタックを展開し、6分16秒674という合算タイムを記録する。ただ予選では多くのマシンがタイムを上げていたこともあり、20台(予選Q1時のトラックリミット違反をめぐり、最終的に24台に拡大)が出走できるQ2シュートアウトへの進出は叶わず。77号車は32番手/クラス8番手から追い上げを目指すことになった。
迎えた8月26日(日)の決勝日。酷暑の中、午前10時からのスタートのときを迎えた。スタートドライバーを務めたのは星野だ。長丁場のレースということもあり、序盤は#112メルセデスらと競りながら周回を重ねていく。ただ、スタートから30分も過ぎ始めると、少しずつタイヤのグリップダウンが見られ始めた。
それでも星野はきっちりと走り抜き、レスターに交代。さらにレスターも仕事をこなし近藤に繋ぐが、実は77号車D’station Porscheは、クールスーツがしっかりと動いていなかった。星野もレスターも、クールスーツが動いていることは確認していたものの、思うように冷えていない状態ながら走っていたのだ。ある意味ふたりの体力のすごさの証明でもあるのだが……。
ステアリングを受け継いだ近藤は、今後のレースのことも考えチームに症状を伝えると、緊急ピットイン。ガレージで修復作業を行う。これでレースとしては大きく遅れてしまった。その後もクールスーツのトラブルは頻発してしまうが、77号車は粘り強く戦いを続けていく。
大きく遅れてはしまったものの、77号車は暗くなった鈴鹿サーキットで、最後は総合28位/プロ−アマクラス9位でフィニッシュ。アンカーを務めたレスターは、マシンを下り笑顔でチームの健闘を讃えた。世界への挑戦という意味ではもの足りない部分があったが、それを星野、近藤が理解し、今後のキャリアに活かすことができれば、この結果は一気にその重みを増すはずだ。