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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.11.12 17:19
更新日: 2021.11.12 17:20

“最終周の逆転”と“2連勝”には理由がある。ARTA NSX-GT逆襲の秘密【第7戦GT500決勝】

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スーパーGT | “最終周の逆転”と“2連勝”には理由がある。ARTA NSX-GT逆襲の秘密【第7戦GT500決勝】

「最初に予兆があったのは最終周に入る1コーナーの手前ぐらい。彼らの加速が少し鈍ったので、スロットルを抜いているのか、単純にガス欠かどっちかだろうなっていうのは直感的に思いました。そして、2コーナーを立ち上がってからも加速していかなかったので、その瞬間『これは僕たちのレースだ』と思いましたし、なんとか引き寄せられたなと」

 2021スーパーGT第7戦もてぎ最大のハイライトとなった最終ラップの大逆転劇を、当事者である野尻智紀は淡々と振り返った。レース終盤、ARTA NSX-GTを駆る野尻はフロントウインドウに大きく映るカルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴を執拗に追い、何度も差を詰めインに飛び込もうと試みた。しかし、平峰は絶妙なブロックで猛攻を何とかしのぎ続けた。軽微な接触こそあったが、これぞプロの戦いと快哉を叫びたくなるような、息もつかせぬクリーンファイトは、しかしカルソニック IMPUL GT-Rの突然の失速で決着を見た。

「前のクルマがガス欠にならなかったら……抜けなかったですね」と野尻は断言する。たしかに、そうだったかもしれない。オーバーテイクが困難なもてぎで、大きなリスクを負うことなく抜くほどの速度差はなかった。しかし、結果的に野尻の熟達の技、そして初王座を獲得した全日本スーパーフォーミュラ選手権でも度々見せる強い気持ちが、相手の失速を引き寄せたともいえる。

「僕たちのクルマは練習走行のときから好調だったし、それによって彼らにピットや給油作業を短くしなければならないという、潜在的な意識を持たせられたことも、勝てたひとつの要因だと思います」

 どちらもシーズン後半戦に入って1勝を獲得し、サクセスウエイトは3kg差とほぼ同レベル。最終戦富士にタイトルチャレンジの権利を持って挑むためにも、今回のもてぎは絶対に負けられない戦いだった。

 予選では、比較的温暖なコンディションにピタリと合わせてきたヨコハマタイヤを履く2台が速く、WedsSport ADVAN GR Supraと、リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rがフロントロウを占めたが、そのすぐ後方には3番手ARTA NSX-GT、4番手カルソニック IMPUL GT-Rとブリヂストン勢がつけた。スタートドライバーは、いずれもFIA-F2経験者である福住仁嶺と松下信治。彼らは抜群のスタートで順位をひとつ上げたが、ターン3の進入では松下が福住を抜き、2番手に駆け上がった。

2021スーパーGT第7戦もてぎ GT500クラス決勝スタート
2021スーパーGT第7戦もてぎ GT500クラス決勝スタート

「スタート自体は悪くなかったんですけど、12号車(カルソニック IMPUL GT-R)のブレーキが思った以上に奥で、前に出られてしまいました。なかなか抜けないサーキットなのに、あそこで前にいかれてしまったのは正直恥ずかしかったですし、もったいなかった……。チームに申し訳なく思いました」

 レース後、福住はウイナーとは思えぬような反省の言葉を並べた。松下の強みである強烈なブレーキングは、もてぎで大きな武器となる。そして『絶対に前に出てやる』という、星野一義監督によって増幅された強い闘魂がみなぎるアタックで、21周目にはトップを走っていたWedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資も抜き去り、ついにトップに立った。そのままさらにリードを広げる作戦かと思われたが、ライバルに先駆け23周を走ってピットイン。バトンを受け継いだ平峰は、37.8秒というかなり短いストップでコースに復帰した。

『ちょっと早いな』と、カルソニック IMPUL GT-Rと同タイミングでピットインし、福住に替わってクルマに乗り込んだ野尻は直感的に思ったという。

「ピットが早いということは、8割方給油が短いとかそういうことにつながってくるので」

 ARTA NSX-GTのストップ時間は41.1秒と、それほど遅いわけではなかった。そのため野尻は、あまりにも早くピットを後にしたカルソニック IMPUL GT-Rの燃費が、終盤にかけてかなり厳しくなるだろうと予想し、そこに勝機を見たという。

「プッシュしていれば何かが起こる可能性があると思い、とにかくプッシュし続けました」と野尻。燃料残量を気にすることなく、タイヤに関してもとくにマネジメントすることなく全力で攻め続けた。それが、結果的に平峰にアクセルを多く踏ませることになり、ファイナルラップでの大逆転劇へとつながったのだ。

2021スーパーGT第7戦もてぎ ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)
2021スーパーGT第7戦もてぎ ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)

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