「最初に予兆があったのは最終周に入る1コーナーの手前ぐらい。彼らの加速が少し鈍ったので、スロットルを抜いているのか、単純にガス欠かどっちかだろうなっていうのは直感的に思いました。そして、2コーナーを立ち上がってからも加速していかなかったので、その瞬間『これは僕たちのレースだ』と思いましたし、なんとか引き寄せられたなと」

 2021スーパーGT第7戦もてぎ最大のハイライトとなった最終ラップの大逆転劇を、当事者である野尻智紀は淡々と振り返った。レース終盤、ARTA NSX-GTを駆る野尻はフロントウインドウに大きく映るカルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴を執拗に追い、何度も差を詰めインに飛び込もうと試みた。しかし、平峰は絶妙なブロックで猛攻を何とかしのぎ続けた。軽微な接触こそあったが、これぞプロの戦いと快哉を叫びたくなるような、息もつかせぬクリーンファイトは、しかしカルソニック IMPUL GT-Rの突然の失速で決着を見た。

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