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クルマ ニュース

投稿日: 2021.05.18 17:49
更新日: 2021.05.18 18:54

編集部試乗記:爽快感を覚える加速と小回り性能の高さを誇る『ニッサン・キックス』

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クルマ | 編集部試乗記:爽快感を覚える加速と小回り性能の高さを誇る『ニッサン・キックス』

 ときと場所を選ばず、様々な用途で使える“SUV”の機動性をそのままにコンパクトにまとめたクルマ。『ニッサン・キックス』というクルマは、autosport web編集部員にそんな印象を抱かせた。

 日本でも人気の高いSUVセグメントにニッサンが投入したのがキックスだ。重心が高く、SUVらしい外観を持ちつつも全長4290㎜、全幅1760㎜、全高1610mmと、SUVとしてはコンパクトなスタイリングだ。しかし、室内に狭さを感じることはなく、視点の高さも合間ってドライビングシートからの眺めは抜群だった。ステアリングを握りながらも、前方が広く見えるようフロントウインドウの見開き角に工夫がされていると感じとることができた。

 このキックスの特徴の一つはニッサン独自のハイブリッドテクノロジーである『e-POWER』を搭載していることだ。フロントに搭載された1.2リッター直列3気筒ガソリンエンジンはあくまで発電用途であり、エンジンで生み出された電力をもと100%モーターで駆動する。

 autosport web編集部では4月3〜4日に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権の取材も兼ねて、東京都新宿区にある編集部から、静岡県小山町にある富士スピードウェイまでキックスで往復することで、そのポテンシャルを体験することにした。

 まず、東名高速道路を『通常モード』で走り始めたのだが、車体剛性を高めた上級小型車向けプラットフォームが採用されたことで、安定した乗り心地を実現しており、ストレスを感じることはなかった。

 そして、走りの軽さに驚かされた。1350kgという車重の軽さに加え、キックスのe-POWERの加速レスポンスは爽快感を覚えるほど良かったのだ。

 キックスの『e-POWER』には先述の通常モードに加えて、加速性能と燃費効率を両立させた『S(スマート)モード』と、燃費重視の『エコモード』の3種類のドライブモードが選択できる。

 ドライビング中でもセンターコンソールの『EVスイッチ』で切り替えが可能で、通常モードからエコモードに切り替えた瞬間、加速は緩やかとなり、発電用1.2リッター直列3気筒ガソリンエンジンの稼働率も少なくなる。そして、アクセルオフの際にはハイブリッドカー独特の回生ブレーキが強めにかかり、エネルギー回収を行う。

 通常モードとエコモードの中間に位置するSモードは、アクセルオフ時の回生ブレーキはエコモード同様強めだ。しかし、アクセルオンの際のレスポンスはエコモードよりも良くなる。この3つのドライビングモードはそれぞれ、好みのタイミングで切り替えができるため、ドライバーの求める燃費や走行コンディションに応じて使い分けができる。

 街乗りではエコモードでも十分に快適な走行を楽しめるが、選択の幅が3つもあることはドライバーにとって嬉しいポイントだ。なお、燃料消費率はWLTCモード測定で21.6km/h、JC80モード測定で30.0km/hを誇る。

 Sモードとエコモードの際には回生ブレーキによって減速度合いが強まるため、ブレーキを踏まずにアクセルオフだけで停車ギリギリまで減速できるが、その際も減速度合いに応じて自動で制動灯が点灯してくれるので、後続からの追突などの心配は不要だ。

“普段使い”を考えた際に重要となる小回りの良さが秀でているニッサン・キックス
“普段使い”を考えた際に重要となる小回りの良さが秀でているニッサン・キックス

 5日間ほど、ステアリングを握って気づいたことが。キックスはボディサイズと比較して、小回り性能が優れていることだ。最小回転半径は5.1mを誇り、かなり狭い十字路や奥まった駐車場へも、タイヤの切れ角の大きさを活かしコンパクトカーと変わらない感覚で入ることができた。

 もちろん、インテリジェントアラウンドビュー・モニターやプロパイロットなどの最新のテクノロジーがドライビングをサポートしてくれることは心強い。しかし、購入してからの“普段使い”を考えた際に重要となる小回りの良さが秀でている点に、筆者はかなり好印象を抱いた。

 しかし、小回りが良く、コンパクトなボディだからといって、室内が狭いということもない。リヤシートはニールームが600mm、ヘッドルームが85mmとゆったりめで、ラゲッジルームの荷室容量はMサイズのスーツケースであれば4個積載できる423リッターを誇る。

『SUVとして求められることに応えつつ、コンパクトに』という難解な課題に対して、ニッサンが技術と工夫で持って答えとしたのがこのキックスなのではないだろうか。

 今回試乗したX ツートーンインテリアエディションはメーカー希望小売価格は2,869,900円(消費税込)となる。また、キックスにはオーテックの手によるカスタムグレードモデルも設定されている。プレミアムスポーティを掲げるオーテックブランドの専用エクステリアに専用アルミホイールを履かせた存在感の増したモデルとなり、こちらは3,114,100円(消費税込)だ。

 願わくばSUVが本領を発揮する雪道などの滑りやすい路面でも試してみたい、キックスはそう感じさせる一台であった。「小回りが効くクルマがいい」という理由からSUVは購入検討の対象に入れたことすらなかった編集部員が、キックスという存在を体験したことで、コンパクトSUVというクラスに強い関心を抱くきっかけとなった。

ニッサン・キックスのフロントマスク
ニッサン・キックスのフロント
ニッサン・キックスのインテリア。試乗車の内装色はオレンジタン
ニッサン・キックスのインテリア。試乗車の内装色はオレンジタン
ニッサン・キックスのフロントシート
ニッサン・キックスのフロントシート
ニッサン・キックスのリヤシート
ニッサン・キックスのリヤシート
ラゲッジルームの荷室容量はMサイズのスーツケースであれば4個積載できる423リッターを誇る
ラゲッジルームの荷室容量はMサイズのスーツケースであれば4個積載できる423リッターを誇る
オーテックジャパンによるカスタマイズモデル『キックス・オーテック』
オーテックジャパンによるカスタマイズモデル『キックス・オーテック』


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