F1マシンの完成には、コンセプトの提案から冬のバルセロナテストで実車を走らせることにこぎ着けるまで、実に1年以上の歳月を必要とする。ルノーF1チームのテクニカル・ディレクター、ニック・チェスターへの独占インタビューを基に、F1マシン製作の全過程を「コンセプトを決める」「マシン製作」「開発のスケジューリング」「F1マシンのデザインとは」の4テーマにわたって紹介しよう。
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●コンセプトを決める(その1)
F1マシンは、実に2万点ものパーツから構成される。そしてこれら2万点のパーツは、開発エンジニアが考え出したコンセプトを具現化したものだといえる。
「F1マシンの完成には、通常1年以上かかる。より正確に言えば、14ヶ月は必要だ」と、チェスターは言う。
「しかしその期間は、前年型マシンに対し、どれほど大きな変更を加えるつもりかによって大きく変わってくる。2万点のパーツを製作し、ジグソーパズルを完成させるようにひとつひとつ組み合わせる前に、まずはニューマシンの技術的な方向性を決めなければならない。どんなマシンにしたいかということだ。しかし、その場合一番参考にするのは、前年型マシンだ」
「今年2018年がそうだったが、技術レギュレーションが大きく変わらなければなおのこと、その時点での最新マシンを出発点にすることが多い。その後レースを戦うにつれ、不都合な部分がいろいろ出てくる。たとえば冷却システムのパッケージングとかね」
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