「それらの弱点に対策を加えたものを、新車に盛り込んで行くんだ。一方で空力エンジニアには、できるだけフリーハンドで開発に当たってもらう。そのことでたとえば風洞実験などで、今まで出てない新たな空力コンセプトを見つけだす可能性があるからね」
「コンセプト決定の手順をごく単純化するなら、まずは現行マシンの弱点をすべて突き止め、対策を講じる。空力部門ができるだけ自由な発想で、開発を進められるようにね」
ただし技術規約が大きく変わる年は、そんな悠長なことは言ってられない。
「何よりも尊重すべきは、レギュレーションだ。何度も繰り返し、条項を読み込む。そして合法的な限界を探るんだ。技術規約は各エレメントの具体的な寸法までは規定してない。もしそこまでやってしまうと、すべてのマシンがうり二つになってしまうからね。なので『この範囲内に収まるのなら、どんな形状、寸法でもよい』という言い方をする。なのでまずは各領域の許容範囲内で、燃料タンクやパワーユニット、トランスミッションなどを装着できる車体のデザインスタディを行う」
(その2に続く)