更新日: 2016.07.05 10:52
GP topic:問題となった「縁石」なぜレースではトラブルが起きなかったのか
今年のF1オーストリアGPでは、4台のマシンのサスペンションが折れるという深刻なトラブルが発生した。
フリー走行1回目では5コーナーをはみだしたマックス・フェルスタッペンの右フロントサスペンションが破損。その原因と考えられているのは、今年から1コーナー以外にも多数設置された「ソーセージ」と呼ばれる縁石である(写真:紫色の矢印)。
しかし、トラブルを起こした4台には、ソーセージに乗らなかったにもかかわらず、サスペンションが折れたケースもあった。2コーナーで左リヤサスペンションを壊したニコ・ロズベルグと、8〜9コーナーのアウト側で右リヤサスペンションを壊したダニール・クビアトである。
クビアトの事故は、確かに左リヤタイヤはソーセージに乗っていたものの、右リヤタイヤは通常の縁石の上にあった。なぜ、トラブルは起きたのか。
今年のレッドブルリンクは縁石だけでなく、路面も全面再舗装され、さらにウルトラソフトが導入されることで、ラップタイムが著しく向上することが予想された。金曜日のフリー走行を終えた時点で、フェルナンド・アロンソは「新しい路面は、すごく気に入った。とてもスムーズでバンプがなく、グリップを引き出すことができる」と語っていた。
土曜日になると、さらに速さは増す。昨年のポールポジションタイムは1分08秒455だったが、今年は予選Q1の時点で22台全車が、このタイムを突破。Q1トップタイムは約2秒も速い1分06秒516を記録していた。もし、Q2で雨が降らなければ、さらにタイムが更新されていたかもしれない。
この速すぎるコーナリングスピードにより、通常の縁石の上を通過した際に、異常な振動をサスペンションに与え、事故につながったのではないかと考えられている。
あるレース関係者は、次のように語る。
「8〜9コーナーのアウト側にある縁石は、2種類の縁石が並列している。これが異なる振動をサスペンションに発生させて、共鳴したタイミングで折れたのではないか」