モンツァでもまさしくスパと同じような問題に直面したが、スパとは正反対にダウンフォースを削る方向からスタートした週末は厳しい走り出しとなった。しかし金曜の夜にデータを精査し弾き出したセットアップ修正が上手くいった。
「金曜日はリヤがすごく不安定でマシン挙動に一貫性がなくてマシンを信頼してドライブすることができなかった。特にこういう超高速サーキットではマシンの限界を引き出すのが難しいんだ。でも今日はフリー走行3回目からフィーリングが格段に良くなって、予選でもマシンバランスはとても良かった。金曜から土曜に思い通りのセットアップ変更の効果が得られないことも2018年シーズンここまでに何度かあったけど、今回はそれが完璧に上手くいったよ」(ガスリー)
やはりダウンフォースを付けてコーナーで稼ぐ方向に持っていくことでトロロッソ・ホンダSTR13はそのポテンシャルを発揮した。いや、STR13に限らず、多くのマシンがそうだった。
それが2000mm幅&ワイドタイヤで高いコーナリング性能を持つ現行レギュレーションのF1マシンであり、それはスパやモンツァのような高速サーキットでも言えることだ。
むしろ、ドラッグが大きくなっている現行マシンだからこそ、ストレートではなくコーナーで稼ぎ勝負すべきなのだ。全開率が格段に上がったシルバーストンでも、ダウンフォースの少ないマシンでいかにコーナーで我慢するかではなく、コーナーで稼げるマシンに仕上げた上でいかにダウンフォースとドラッグを削るかの勝負だった。
「ラップタイム寄与度からいえば、同じパッケージの中ではストレートを伸ばすのとコーナリングスピードを上げることのどっちの方がラップタイム的に特なのかと言えば、当然コーナーの方なんです。コーナーが速ければストレート立ち上がりのスピードも速くなりますから」(田辺テクニカルディレクター)
パワーユニットの差はもちろんある。フェラーリはスペック3でさらに進化し、メルセデスAMGもスペック3はそれに近いピーク性能を有している。中団グループでハースとフォース・インディアがトップを争う好走を見せたことからも、それは明らかだ。
しかし彼らと同じパワーユニットを積むザウバーとウイリアムズはそれぞれ苦戦を強いられた。つまり、パワーユニットの性能よりもむしろ車体性能とその仕上がりがものを言うというわけだ。