2018年F1第19戦メキシコGP ピエール・ガスリー
2018年F1第19戦メキシコGP ピエール・ガスリー

 しかし、ひとつだけ誤算があった。それは予想していたよりもスーパーソフトの性能が長く維持されたことだった。トロロッソ・ホンダはレースが2ストップになると考えたからこそ、ウルトラソフトを1セット、スーパーソフトを2セット残していた。ところが、レースはトップ10からスタートしたルノーとザウバー勢がハイパーソフトで10周以上を走行した後、履き替えたスーパーソフトでチェッカーフラッグまて走りきってしまった。つまり、スーパーソフトはレースで1セットあれば十分だったのだ。

 ルノーやザウバーの金曜日のフリー走行2回目のプログラムを見ると、チーム内で1人がスーパーソフト、もう1人がウルトラソフトという形でプログラムを分けていた。もともと彼らはメキシコGPに持ち込むコンパウンドごとのセット数をふたりで分け、状況がどちらに転んでも対処できる体制をとっていたわけである。こうして得られた金曜日のデータを元に、彼らはスーパーソフトが50周以上持つと判断した。

 もちろん、トロロッソ・ホンダもハートレーは1ストップを視野に入れてスタートしており、もし1周目にフラットスポットを作ってピットインしていなければ、フォース・インディアのセルジオ・ペレスがリタイアするまで中団グルーブのトップを走行していたことからも、少なくともザウバーをかわしていた可能性は考えられる。しかし、そうなると、そもそもスーパーソフトを2セット残しておく必要はなかった。

 また最後尾からスタートしたピエール・ガスリーは最初にハイパーソフト履いたが、5周目にピットインしてスーパーソフトに交換した。もし、トロロッソ・ホンダが金曜日にどちらか1台だけでも、スーパーソフトのロングランの情報を得ていれば、日曜日にハイパーソフトでスタートしたガスリーが、ルノーやザウバー勢と同様、10周以上走行してからスーパーソフトに履き替えて、50周以上のロングランを行うという1ストップを行うという選択をしていたかもしれない。

 もちろん、レースが終わってから正解を言うのは簡単だということは承知しているが、メキシコGPのフリー走行で10チーム中、8チームがウルトラソフトとスーパーソフトでの走行を行っていたことを考えると、今回のトロロッソ・ホンダのタイヤの使い方は、少しリスクを冒しすぎていたような気がする。

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