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F1 ニュース

投稿日: 2019.01.03 11:00
更新日: 2019.01.03 19:20

【F1座談会企画(4)ホンダ編】2019年は待望の復帰後初優勝なるか。巧者レッドブルとの関係に提言アリ

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F1 | 【F1座談会企画(4)ホンダ編】2019年は待望の復帰後初優勝なるか。巧者レッドブルとの関係に提言アリ

 F1に復帰して4年目のシーズンを終えたホンダ。2018年シーズンはトロロッソへのパワーユニット供給の開始に始まり、F1復帰後最高位となる4位入賞や、レッドブルへのパワーユニット供給決定など話題の尽きないシーズンに。

 座談会企画の第4弾となる今回は、ホンダの2018年シーズンをあらゆる方向性から振り返ります。座談会のメンバーはオートスポーツwebでもお馴染みのF1ジャーナリストの柴田久仁夫氏、そしてF1の現場で16年以上全戦取材し続けている尾張正博氏。おふたりとともに、2019年へ向けたホンダの課題と期待、さらには初優勝の可能性について語り合いました。

■2018年に使用したパワーユニットは8基。課題は『信頼性の向上』

──(MC:オートスポーツweb)さて、ここからはホンダに関するテーマとなります。2018年6月に発表された通り、レッドブルは2019年よりホンダのパワーユニット(PU)を使用することが決定し、ホンダは2チーム体制でF1に参戦します。2018年のレッドブルはルノー製PUの信頼性の低さなどに苦しみながらも4勝を挙げましたが、2019年はルノーよりも優れていると評判のホンダ製PUを使用することで、理論的には4勝以上挙げる可能性が高くなります。

柴田久仁夫氏(以下、柴田)「パワーユニットというより、車体次第でしょう。レギュレーションが変わってもレッドブルが開発の方向性を外さなければ、4勝でも5勝でもすると思う」

尾張正博氏(以下、尾張)「自分もその通りだと思う。ただひとつわからないのは、ホンダは優勝できるクルマにパワーユニットを積んだことがないので、積んだ時にどうなるのか、というのがある。PUの使い方も含めて、これまでのトロロッソやマクラーレンのクルマと、新しく組むレッドブルのクルマは全然違う。今まで経験したことがないトラブルというのは毎年出ているし、2019年もそういうものが出てくるのが怖いところ」

柴田「トラブルは絶対に出てくると思う。ロシアGPで投入したスペック3にはオシレーション(共振)の問題があったけれど、ホンダの人たちは『もう改善しました』と話していた。アブダビGPでも予選の前に『信頼性は確立されていて問題ない』とコメントした途端に予選でトラブルが出た。やっぱりホンダは、今のパワーユニットの信頼性を完全には確立できていない」

尾張「たとえばメルセデスは『絶対にPUが壊れない』というラインでしか争っていない。何が怖いかっていうと、今のF1では1回のリタイアがすべてで、2回リタイアしてしまったらチャンピオンにはなれない。2017年はセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2回リタイアして、ハミルトンがほぼ全レースを完走したでしょう。フェラーリもそれをわかっているから、2018年は信頼性の面でもメルセデスに追いついて、3基でシーズンを走り切った」

柴田「かたやホンダは『壊れたわけではなく、戦略的に交換する』と言っていたけれど、年間8基も使うなんてもってのほかでしょう」

──ホンダの当面の課題は信頼性の確立ですね。その一方でパワーについては「ルノーに追いついた」と言われていますが、実際のところはどうでしょう?

尾張「たしかにルノーには追いついたし、昨年までのレベルからは一段上がったけれど、メルセデスとの差は変わっていない。1戦だけに限って考えたら、メルセデスとの差はルノー同様に50馬力で、それでいてメルセデスにはまだまだマージンがある。それにメルセデス陣営は、ライバルが追いついてきたら、まだまだパワーを上げることができると思う」

柴田「しかもホンダはあれだけパワーユニットを壊してあのレベルですからね。田辺(豊治/ホンダF1のテクニカルディレクター)さんから、2018年の最終戦の段階でも金、土、日と3日間続けて走れないことを聞いて、僕らは唖然としました」

──バーレーンGPでピエール・ガスリーが4位に入賞したのを見て、2018年は過去3シーズンとは違うんじゃないかと思いましたが……。

尾張「そう思ったけれど、2018年は改めてメルセデスがすごいなとも感じた。最終戦でハミルトンが使っていたPUは、ブラジルGPで壊れかけたPUだからね。ペナルティを受けていなかったし、別のストックのものなのかとメルセデスのスタッフに聞いたら、ブラジルGPで使ったものだと言っていた。彼らがそのPUを使いこなせるということは、おそらくメルセデスPUは管理が徹底しているとともにメンテナンス性も良いということ。ホンダだったら『研究所に戻さないとわかりません』と言うでしょうからね」

柴田「その差はものすごく大きいと思う」

尾張「メルセデスはエンジンの管理やデザインを俯瞰して見ていますよね」

柴田「パワーユニットのそれぞれのパーツの走行距離、使用状況がどこまでいったら壊れるのかを正確に把握している。ホンダはおそらくその辺りをまだ正確に把握できていない。ただ、2018年になってホンダ内の体制を大きく変えたことがかなりうまくいっているし、2019年に向けて期待できるのではないかと思う」

■“ダウンフォース減”の規則変更がレッドブルの追い風に?


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