4)車体とドライバーの重量
昨年までマシン総重量は、733kgだった。それが今季は、ヘルメットを含めたドライバー、バケットシート別に測定され、最低80kgはなくてはならないことになった。
そのため80kgに満たない場合、サバイバルセルにバラストを搭載することになる。その結果、体重が重くダイエットを強いられたドライバーの不利が、ほぼなくなることになった。
今季のマシン総重量は昨年より10kg増えた743kgで、内訳はドライバー、バケットシートが80kg、燃料を含まない車体重量が663kgとなる。
5)燃料とオイル
最低重量も105kgから110kgに増やされた。マシン総重量が増えたことへの対応であると同時に、ガス欠を恐れて燃費走行になってしまうことを防ぐ措置でもある。ただし燃料の流量制限は昨年までと同じなので、一気にパワーが増えるわけではない。とはいえ燃費を気にしたリフト&コースト走行は、去年よりは減りそうである。
ではこの措置で燃料タンクが大きくなったり、ホイールベースが伸びたりしたのかといえば、それはなさそうだ。モナコを始めとするいくつかのグランプリは満タンにしなくてもレースを走り切れるし、何より少しでも軽い車重でレースを戦うのが有利であることに変わりはないからだ。
一方でオイルを燃焼することでさらにパワーを上げようという、レギュレーションの裏を突くやり方には、すでに去年の段階で厳しい規制がかかった。2019年はそれをさらに一歩進めて、予選時にはサブオイルタンクを空の状態にすることが定められた。「オイル量は0.6リットル」という昨年決まった規定はあくまでレース時のものであり、予選では実質的に野放しだったからだ。FIA(国際自動車連盟)は今回の新規定によって、ライバルを圧する予選モードは影を潜めるのではないかと期待している。
(その3に続く)