F1第15戦シンガポールGPはスタートでクラッシュがあり、1周目からセーフティカーが入る波乱となったが、その後は各ドライバーのタイヤ戦略が分かれ、トップ4台が接近戦に。最後はニコ・ロズベルグが追い上げるダニエル・リカルドを抑え、ドライバーズランキングトップに返り咲く優勝を果たした。
夜の帳が落ちてもなお、シンガポールには熱気と湿気が渦巻いている。未明に激しいスコールが降り、路面は再びグリーン。これが各チームのレースペースにどのような影響を及ぼすか未知数のまま、決勝の時を迎えることになった。
予選10位のセルジオ・ペレスは予選中の黄旗追い越しと減速不充分で計8グリッド降格のペナルティを科され18番グリッド、Q2でクラッシュしたロマン・グロージャンはギヤボックス交換のため5グリッド降格を受け、決勝ではスタートできず0周リタイア、予選最下位に終わったセバスチャン・ベッテルはシーズンの今後を考えて6基目の新品パワーユニット(ICE、TC、MGU-H)を投入し、ギヤボックスも交換したが実質ペナルティなしで最後尾グリッドから決勝に臨んだ。
スタートではポールポジションのニコ・ロズベルグが順当に首位を守ったが、その後方で好スタート切ったニコ・ヒュルケンベルグが前方のカルロス・サインツと接触し、イン側のウォールにクラッシュ。すぐさまセーフティカー導入となった。
「トロロッソの2台にサンドイッチされたんだ……」と無線のヒュルケンベルグ。
スタートが遅れたマックス・フェルスタッペンは目の前をヒュルケンベルグに横切られ、8位まで後退。逆にフェルナンド・アロンソは混乱を上手くすり抜けて5位まで浮上し、その後方にトロロッソ勢が続いた。
トロロッソのガレージから、「カルロス、マシンにダメージは?」との無線に、「外から見ないと分からない、でも問題は感じられないよ」と応えるサインツ。しかし、実際にはバージボードとサイドポッドにダメージを負っていた。「車体右側にダメージがある。アンダーステアになることが予想される」とチーム。
上位争いはトップのロズベルグ、2番手ダニエル・リカルド、その後にルイス・ハミルトン、キミ・ライコネンの上位4台が逃げ、上位よりペースが1.5秒遅い5位アロンソに後続が押さえ込まれる形となる。
サインツにはレースコントロールからオレンジボールを提示され、7周目にピットインしてパーツを取り外すと同時にスーパーソフトへ交換し18位まで後退した。