しかし、メルセデスAMG陣営にはまだ奥の手があった。セーブしていたブレーキを、最後の数周だけはフルに使うことにしたのだ。

「最後にブレーキはどのくらい使っても大丈夫?」とロズベルグ。「最後には絶対に使わせてあげるよ」とチーム。

 ギャップが5秒を切った57周目、残り5周の時点でゴーサインが出され、ロズベルグは0.7秒のペースアップ。最後にロズベルグがバックマーカーに捕まってリカルドが背後に迫ったが、最後は0.488秒届かずロズベルグが逃げ切って自身200戦目のグランプリを勝利で飾った。
2016年第15戦シンガポールGP決勝
 後方では最後尾スタートのベッテルがウルトラソフトを2セット使う2ストップ作戦で5位まで追い上げて「みんなありがとう、素晴らしいリカバリーだった!」と会心のレース。スタートで8位まで後退したフェルスタッペンも二度にわたってターン7〜8で果敢なオーバーテイクを見せてダニール・クビアトとセルジオ・ペレス、アロンソを逆転して6位を獲得した。

 アロンソは最初のピットストップでもフェルスタッペンの前に留まり、長く実質6位のポジションを堅持。ロズベルグ同様に2ストップ作戦でソフトタイヤを最後まで保たせたものの、自力に勝るフェルスタッペンは抑え切れず。

 それでも、アロンソは1周目のセーフティカー中にタイヤ交換義務を果たしソフト2セットで実質1ストップの奇策に出たペレスを充分に抑え切って3強6台の後ろで7位入賞を果たした。

「まだP7だ、後ろのペレスは16秒差、抜かれる恐れはない。残り7周、タイヤをマネージしてダッシュボードのデルタ(燃費表示)だけマイナスをキープしてくれ」とチームからの無線に、アロンソは驚きを持って応えた。「あぁ、初めてシンガポールで上位に何も起きなかった。信じられないね!」

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